谷繁元信氏三男・朗 犠打&四球で星槎国際湘南初戦突破貢献「次はもう少し良いところを見せたい」

[ 2022年7月11日 05:30 ]

第104回全国高校野球選手権神奈川大会・1回戦   星槎国際湘南3ー2横須賀学院 ( 2022年7月10日    小田原 )

<横須賀学院・星槎国際湘南>1打席に犠打を決める星槎国際湘南・谷繁(撮影・福清 真人)
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 第104回全国高校野球選手権(8月6日から14日間、甲子園)の出場を懸けた地方大会は10日、各地で継続試合を含む382試合が行われた。神奈川大会では、プロ通算2108安打を放ち、中日監督も務めた谷繁元信氏(51)の三男・朗(ろう)内野手(3年)が星槎国際湘南の「5番・一塁」で、横須賀学院戦に出場。無安打も、1四球に犠打を決める堅実な活躍で、初戦突破に貢献した。

 「頭は冷静に、心は熱く」。谷繁は名捕手で中日監督も務めた父・元信氏から授かった言葉を、グラウンドで体現した。6回の守りから退いたベンチでも、人一倍声を出して仲間を鼓舞。勝利のために、力を尽くした。

 「相手の声援で選手も萎縮してしまうので、緊張をほぐしてもらおうと必死に声を出しました」

 「5番・一塁」で先発出場。打席では父譲りのしぶとさを発揮した。2回無死一塁からは捕犠打で好機を広げ、先制劇に貢献。4回は得点にはつながらなかったが、先頭で四球を選びチャンスメークに徹した。通算3021試合出場のプロ野球記録を持つ父は、27年の現役生活でプロ野球歴代10位の1133四球、歴代20位の252犠打をマーク。スタンドで、息子が打席に立つとスマホを片手に撮影しながら見守った父は「多少は貢献したんで。頑張ってくれれば良いんじゃないんですか。楽しかったです」と目を細めた。

 宝物にしているバットがある。谷繁がこの日も球場に持参したのが、父が使用していた木製バット。「フリーバッティングや素振りなど打撃練習ではこのバットをメインに使っています」と父から贈られたバットで練習に励んでいる。グリップに巻かれた使い古されたテーピングの傷み具合が、努力を物語っていた。

 副主将も務める谷繁。「何事にも率先してやるという気持ちで臨んでいます」。名捕手だった父のように、周囲への目配りも抜群だった。退いた後のベンチでは、ピンチで「スクイズ!」と声を張り上げ、ナインに先を見越した指示を伝達。守備から戻る選手を率先して出迎えるなど、チームのために動いた。

 最後の夏の目標は、偉大な父を甲子園のスタンドに連れて行くこと。「途中で代わってしまったので、次はもう少し良いところを見せたい」。父とともに長い夏にしてみせる。(福清 真人)

 ◇谷繁 朗(たにしげ・ろう)2004年(平16)5月6日生まれ、神奈川県出身の18歳。小学生から市ケ尾シャークスでプレー。市ケ尾中に進み、兄弟が桐蔭学園で土屋恵三郎監督から指導を受けた縁で星槎国際湘南へ進学した。1メートル73、67キロ。右投げ右打ち。

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