創立91年目 東都大学野球 「大分シリーズ」開催の意味

[ 2022年4月16日 07:30 ]

選手宣誓を行った大分出身の國學院大・古江空知(撮影・中村 達也)
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 創立91年目を迎えた東都大学野球リーグ。今春の1部リーグ戦は、史上初の地方開幕となる大分県でスタートを切った。同リーグの歴史的な試合が行われた別大興産スタジアムには、毎年プロ野球選手を輩出する「戦国東都」のレベルの高い野球を見ようと、4月2~4日の3日間で2万7000人以上が詰めかけた。

 大分商出身の国学院大・古江空知主将(4年)は、高校時代もプレーしたことのある球場で選手宣誓。「こんなにお客さんが入った別大興産スタジアムを経験したことがなかった。あいさつして拍手をもらえて、ホッとした」と感慨に浸った。古江のチームメートで、大分舞鶴出身の新名凌馬投手(2年)が開幕戦で登板した際に「ガンバレー」と大きな声援が送られたのも非常に印象的だった。その地域の人々にとっても、地元出身の選手には思い入れがあるものだ。

 今回の「大分シリーズ」の目的の一つには、野球の魅力を再確認してもらい、野球人口の増加につなげる狙いもあった。実際に、高校生以下は入場無料。初日と2日目は土日だったこともあり、多くの小中学生の野球チームが観戦に訪れていた。150キロを超える直球。パワフルなスイング――。グラブを手にしながら大学生のプレーに目を輝かせ、1球ごとに歓声を上げていた。

 開幕戦で始球式を務めた駒大OBの中畑清氏(本紙評論家)も「甲子園の先にこういう世界があると、夢の続きがあると知ってもらいたい」と言った。記者も野球を続けたのは高校まで。確かに小中学生だった当時を振り返ると、高校野球の甲子園のように、全国でテレビ放送されることがない大学野球のことはあまり知らなかったし、親しみを感じることはなかった。

 東都だけでなく、大学野球そのものの理解を広げる意味でも意義のある開幕戦だったはず。数年後に取材現場で「あの大分の試合を見て大学野球を志しました」と言う選手に会えたら、と想像すると胸が躍る。(記者コラム・田中 健人)

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2022年4月16日のニュース