落合博満氏 一番の練習の虫は、あのユーティリティプレーヤー「3回死んだと思った」

[ 2022年4月13日 17:30 ]

落合博満氏
Photo By スポニチ

 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(68)が13日、YouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。特に練習熱心だった選手を振り返り、一流になるための練習の方法論について語った。

 落合竜において、春季、秋季キャンプの風物詩とも言えるのが、監督の打つノックの特守だった。1時間、1時間半…。時には2時間を超えることもあった。意識もうろうとする中、それでも右に左に振られるノックに最後まで食らいついてきたのが、井端、荒木の二遊間コンビと、プロ19年間で1801試合の出場。通算1581安打、165本塁打、782打点を記録した森野将彦(現中日打撃コーチ)だった。あまりにも長時間にわたる過酷なノックで失神したこともあったという。

 「俺アイツ、3回死んだと思ったもん。だって約束守らないんだもん。自分がもう限界だって、ダメだと思ったらグローブを手から離せよって言ったの。それが終わりの合図だよってことを言っていて、こっちがもうアイツ駄目だろうなと思っても、手からグローブはずさないんだもん」

 落合氏の監督就任当初、森野はまだ立浪和義(現中日監督)の牙城を崩すことができず、控え選手の扱いだった。しかし猛練習を積み重ねることで定位置の座をつかんだ。失神には、ちょっとした裏話もある。「聞いたら(グローブが)はずれないんだって。トレーナーに見て来いって言ったら、トレーナーはバツって。すぐバツ出した」と懐かしそうに笑った。

 2014年からチームに加わった小笠原道大は長時間の打撃練習で、バットから手が離れなくなったという。練習のしすぎとも、野球選手の本能ともいえる事象。落合氏自身も経験者だった。

 「小笠原もそうだし、ロッテにいた時でも西村とか愛甲とか横田とか、あの辺がそうだよ。俺も実際、そうなったからね。山内さん(一弘監督)の時に。離れないんだもん。こうやって指1本ずつ離してもらって、初めてバットから離れた」

 ただ、効率よく打撃練習を行うには「コツ」もある。それをつかむことが技術向上への一歩目だと落合氏は言う。

 「振り方の悪いヤツは30分もすりゃなるんじゃない?俺らみたいにこうやって軽く打って、小指からたたんでいくっていう打ち方するヤツは。ボール当たる時だけ、こうやってキュッと握ってやるってヤツは1時間以上、振ったってくっつくということはならないけど。その域に達するまでは俺らも30分、1時間超えて、そうなったもん。そのあとはいくら2時間、3時間振ってもそうはならなかった。振り方のコツってのもあるんだもん」

 練習はウソをつかない。ただし、必ずしも練習をすればうまくなるとは限らない。「練習のコツをつかむってのも大事なんだろうだと思う。うまくなるためのコツってあるんだもん。それは人によって違うけどね。だから自分に合った練習をするかどうかっていう、それに自分がこれだと思う練習方法があったら、時間をかけてそれを積み重ねてうまくなるっていう。それで結果を出していって、その結果がまた結果を生んでいくようになってくれば一人前の選手になる」。落合氏は信念を貫いて、常勝軍団を作り上げた。

続きを表示

2022年4月13日のニュース