落合博満氏 実感した勝者のメンタリティーと不吉な予言 「再来年はもたない」

[ 2022年4月13日 17:20 ]

落合博満氏
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 現役時代に3冠王を3度獲得し、監督としては中日を4度のリーグ優勝に導いた落合博満氏(68)が13日、YouTube「落合博満のオレ流チャンネル」を更新。2011年のリーグ連覇当時、実感した「勝者のメンタリティー」と不安視した「チームの未来」について語った。

 現在のプロ野球では考えられないことかもしれない。いや当時でも、その体制はかなり異質なものだった。

 「勝つためには何をすべきかってことを徹底的に。だってシーズン中、休ませなかったしね。休みってのはオールスター2日間だけ」

 シーズンを通して戦い抜くための、絶対的な体力と技術を身につける。そのための最短距離として「休日」は不可欠な条件ではない。就任当初から8年間、方針は一切、ブレることはなかった。当初は選手間で戸惑いの声もあったが、いつしか「不休」は当たり前のこととなっていった。

 「その2日間でも、1日休んで次の日、出てくるやつはいたから。何しに出てきたんだと言ったら、家にいてもやることがないって言って。何していいか分からない。練習している方が自分の生活のリズムの一環として、成り立っているから練習に来ましたって言うんだもん。完全に、野球やって勝つための体制にはなっていたと思う」

 長い年月をかけて、勝てる集団を作り上げていった。ただ退任後、選手のメンタリティーを維持したまま、後任に黄金時代を引き継げるかは自信がなかった。「最後にな、これ持つの1年だけだぞって。来年は持つかも分からない。再来年からは苦労するぞってことは言ったけどね。だってそうなるのは目に見えていたもん」と淡々と振り返る。

 理由は退任後、選手と監督、コーチ陣との距離感が変化することが容易に予想できたからだった。

 「この練習でいいのかどうかっていうジャッジをする人がいないんだもん。だから、これをやっとけよって見ているだけでコーチが自分らで止めちゃうでしょ。練習を。俺は選手任せだったから。お前らがやめたいんだったら、いつでもやめていいよ。そこがストップだぞって。一人でもグラウンドにいるんだったら、コーチは全部置いておくからってことで、担当コーチを置いておかして、やらせていた訳だから。自分は練習していると思っても、はたから見ている方は、そこじゃないだろ、まだ足りないだろって思う。そこのジャッジをする人間がいなくなったから、練習やっていて不安でしょうがなかっただろう」

 不吉な予言は結果で現れる。退任翌年の12年は優勝した巨人に10・5ゲーム差を付けられはしたが、2位でクライマックスシリーズ(CS)に出場。しかし13年は12年ぶりのBクラスに沈んだ。以降、昨年までAクラスは20年3位の1回だけ。あれだけ強かったチームは長い低迷期に入ることとなる。

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2022年4月13日のニュース