“胴長”の相棒よ、見てくれたかい!阪神・ガンケル 感謝の先発初勝利 昨年の中継ぎ経験いかした

[ 2021年3月29日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神8ー2ヤクルト ( 2021年3月28日    神宮 )

<ヤ・神(3)> 先発として初勝利を挙げ笑顔のガンケル(撮影・大森 寛明)
Photo By スポニチ

 低く渋い「第一声」は、仲間への感謝だった。敵地のヒーローインタビューでガンケルはまず援護してくれた打線に頭を下げた。

 「これだけしっかり点を取ってくれるので、感謝したい」

 序盤から付けいる隙を与えなかった。4回1死一、三塁では内川を直球で空振り三振、坂口には12球粘られながら二ゴロ。「どこに投げても粘られる好打者。打ち取れたのは幸運」と謙虚に死闘を振り返った。6回まで3安打無失点。昨年の来日初先発で4回3失点KOされた神宮でリベンジを果たし、先発初勝利を手にし、矢野監督にも「気持ちもボールもコントロールして投げてくれたのが勝因」と称えられた。

 マイナー経験しかない男にとって、日本でのキャリアも簡単なものではなかった。2年連続での助っ人8人態勢。新天地でも激しい競争にさらされた。今季もチェン、アルカンタラと先発要員が加入。今春キャンプ中には「1軍で投げるチャンスすらあるか分からない…」と漏らした。

 異国の地で踏ん張れるのは、愛する家族の存在だ。メガン夫人はもちろん、“胴長”の相棒がいる。米国の自宅にいるダックスフントの「トゥーシーロール」。「見た目が似ているからなんだ」と米国産の有名なチョコのシルエットにちなんで命名し、夫婦にとって癒やしになっている。

 1年目は中継ぎも経験し「昨年の経験は生きている」と今季を迎えるにあたって、数ある対戦をおさらいし、打者の特長を頭に叩き込んだ。「案を持って投球できるというか、そこは助かっている」と進化の気配が漂う。

 「あまり先を考え過ぎないように。今考えるのは次の対戦。あまり大きい夢はそこまで見ないように。目の前の一戦、一戦を大事に戦っていく」。軽はずみに「成功」は口にしない。苦労人は、生きる道を知っている。 (遠藤 礼)

続きを表示

この記事のフォト

2021年3月29日のニュース