常葉大菊川が秋季県大会進出 父は広島コーチ、広瀬が同点打 逆転呼ぶ「何が何でも」意地の一打

[ 2020年8月19日 20:12 ]

<聖隷クリストファー・常葉大菊川>7回1死一、三塁で左前に同点タイムリーを放ち、ガッツポーズしながら走り出す常葉大菊川の3番・広瀬
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 来春センバツの参考資料となる第73回秋季高校野球静岡県西部地区3回戦を行い、常葉大菊川が「2020夏季静岡県高校野球大会」王者の聖隷クリストファーを6―3の逆転で下し、11年連続27度目の県大会(9月19日開幕)出場を決めた。

 快勝後、帰りのバスに乗り込んだ3番・広瀬蓮左翼手(2年)がうれしそうにこうつぶやいた。

 「今から父に勝利と結果を報告します」

 父とは広島一筋で現役時代の10年に外野手でゴールデングラブ賞を獲得するなど、現在は同チームで外野守備走塁コーチを務める純さん(41)だ。

 マツダスタジアムでDeNA戦を控えた父にようやく胸を張れる結果を出せた。7回に1点を返し、なおも1死一、三塁で、低めのスライダーに食らいついて左前に運んだ。見事な同点打。走り出す際、無意識につくったガッツポーズが示す通り「何が何でも打ってやると思って打ちました」と意地のひと振りが後続にも連鎖し、一挙5点を奪って相手の息の根を止めた。

 小学3年時、プロで活躍する父の姿に憧れて野球を始めた。そして、13年、16年にフルスイングで甲子園を席巻したピンストライプ軍団に魅了され、静岡県菊川市への野球留学を決意。

 「僕は中学時代、バットが振れなくて。菊川の選手のようにあれだけ振れたらホームランを打って、甲子園にも出られる。今後の成長にもつながると思ったんです」

 大会に入って不調が続いていた。浜北西との初戦も二、三塁のチャンスで1球も振ることなく見逃し三振を喫した。「せっかく石岡監督が使ってくださっているのに。野球人生で一番悔しかったです」と落ち込んだ。思わず父にLINEを送った。返ってきたのは「自信を持て。気持ちで負けるな」という言葉だった。

 遠く離れていても気持ちは通じるものだ。

 「自慢の父です」

 さらに活躍して勝ち進み、来年春夏甲子園に出場を果たして勇姿を届ける。(小澤 秀人)

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2020年8月19日のニュース