立大・中川 “DIYマウンド”で復活だ!東京六大学野球春季リーグ戦10日開幕

[ 2020年8月9日 05:30 ]

自宅に即席のマウンドを作り父・貴成さん相手に投球練習する中川 
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 東京六大学野球の春季リーグ戦は、10日から神宮球場で東大―慶大、明大―早大で開幕する。新型コロナウイルスの影響で1回戦総当たりの変則日程。3カ月以上にも及ぶ自粛期間中、立大のドラフト候補右腕・中川颯(はやて)投手(4年、桐光学園)は自宅にマウンドを作って実戦感覚維持に努めた。プロ入りを懸けラストイヤーに挑む。

 コロナ禍の影響で部活動自粛となった3月以降、中川は神奈川の自宅に戻りトレーニングに汗を流していた。しかし、投球練習ができない。そこで考えた。自分でマウンドを作ってしまえ、と。

 子供の頃から物作りが好きで、早速「DIY」に着手した。バッテリー間18・44メートルを測り、木材を組み立ててマウンドの高さを確保。人工芝を敷き、投手板も同じサイズに切って1日で即席マウンドを父・貴成さん(50)が経営する自動車修理工場内に完成させてしまった。捕手は、野球経験のある貴成さんが務めた。

 そこまでする訳がある。「どうしてもプロで勝負したいんです」と最終学年でアピールするためだ。下手投げ右腕は17年春、1年生ながら抑えで10試合に登板。2勝を挙げ18年ぶりのリーグ優勝に貢献した。59年ぶりの日本一に輝いた全日本大学野球選手権では最優秀投手賞を獲得した。

 しかし、2年秋に3勝した以外は期待に応えられず。「1年春が一番良くてずっと下降線みたいなイメージを持たれている。それは悔しい」と今夏に懸ける思いは強い。国からの特別給付金10万円でウエートトレーニング器具を購入。体幹強化にも力を入れてきた。

 初戦は11日の明大戦。7日間で5試合の過密日程を考え、オープン戦では自ら連投を志願した。結果を求め、低迷から一気に浮上を狙う。
 (落合 紳哉)

 ◆中川 颯(なかがわ・はやて)1998年(平10)10月10日生まれ、神奈川県出身の21歳。横浜泉シニアで下手投げに転向し、桐光学園では3年夏に神奈川大会4強。立大では3年間で49試合に登板して8勝5敗、防御率3.47。リーグ8勝は三浦銀二(法大)と並び現役最多。1メートル84、80キロ、右投げ左打ち。

【各校主将コメント】

 ▼慶大・瀬戸西純主将 投手陣の安定感が強み。勝ちきることの難しさを全部員が自覚しているので、粘り強く戦いたい。
 ▼法大・中村迅主将 強みは投手陣が安定していること。短期決戦になるので、チームワークを持って全員で集中して戦いたい。

 ▼早大・早川隆久主将 短期決戦なので経験の豊富さを生かしたい。新戦力も出てきたし、暑さ対策もしっかりやってきた。一丸で向かっていければ。

 ▼立大・宮慎太朗主将 投手陣は中川、中崎が中心。昨年を経験した野手も残り、多くバット振ってきた。打ち勝つ野球したい。

 ▼明大・公家響主将 一戦必勝で貪欲に取り組んでいきたい。どこからでも点を取れるような練習を積んできている。積極的な攻撃をやっていきたい。

 ▼東大・笠原健吾主将 選手主体にやってきた。上級生の野手がリーグ戦経験者が残っている。投手は下級生主体になるが、歯車を合わせて戦いたい。

 《観客3千人上限》今春リーグ戦では神宮球場の収容人数の約10分の1となる3000人を上限として観客を入れる。応援団は球場に入れず、映像を使った応援となる。延長戦はタイブレーク制を採用。チケットは内野席券のみ当日販売。15日の早慶戦のみ12日午前10時~14日午前10時にオンラインで前売りする。前売りで上限枚数に達した場合は、当日売りはしない。

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