石井一久氏が見た大谷 88日ぶり“ぶっつけ復帰登板”の意味

[ 2018年9月4日 08:31 ]

ア・リーグ   エンゼルス2―4アストロズ ( 2018年9月2日    ヒューストン )

3回、投球練習をする大谷(撮影・会津 智海)
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 レギュラーシーズン残り1カ月でマウンドに戻ってきたエンゼルス・大谷。米メディアでは今季中の二刀流復活に否定的な声も上がる中、本紙評論家で、9月1日付で楽天のGMに就任した石井一久氏(44)は、88日ぶり復帰の意味について語った。

 約3カ月間のブランクを考えると、大谷はフォームのバランスも良かったし、腕も振れて力感もあった。球速が落ちた3回は、軸をつくってからリリースポイントに行くまでに一塁側方向に体重が逃げている感じがあったが、それは腰に違和感があった影響か。スライダーの切れは本来と比べると、まだまだだが、この試合に関しては、変化球の精度がどうかは重要ではない。

 一番大事なのは、試合でしか分からないことを体感できたこと。ブルペンでいくら力を入れて投げていても、大観衆を前にしての打者との真剣勝負は、アドレナリンの出方も全然違う。その中でしっかり腕が振れ、球速も160キロ出ていた。3カ月の間隔が空いても、体の使い方はブレていなかった。

 試合で投げれば、体のいろいろな部分に負荷がかかるし、負荷をかけていくことで体は仕上がっていく。登板翌日に体がどんな状態になっているかもチェックできる。優勝争いから脱落した中で投げさせることに、否定的な意見もあるようだが、体や肘の状態が分からず、不安を抱えてシーズンを終えるより、現状を把握できることは、来季に向けて大きなプラスになる。

 本来ならマイナーでリハビリ登板の過程を踏むが、二刀流の大谷はそれが難しい。その意味では、この日は「復帰登板」というより、完全復活への最初のステップを順調に踏んだということだろう。

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