大谷160キロで復帰 88日ぶりマウンド「勝手に出力が上がってしまった」

[ 2018年9月4日 05:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス2―4アストロズ ( 2018年9月2日    ヒューストン )

3回、力投する大谷(撮影・会津 智海)
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 エンゼルスの大谷翔平投手(24)が2日(日本時間3日)のアストロズ戦に先発し、右肘の内側側副じん帯損傷から6月6日以来の投手復帰を果たした。2回1/3を2安打2失点で2敗目を喫したが、最速は99・3マイル(約160キロ)をマーク。腰の張りと右手薬指に打球が当たった影響もあり降板したが、投打の「二刀流」完全復活へ確かな一歩を刻んだ。

 敵地のブーイングも気にならない。真剣勝負の興奮。緊張感。喜び。大谷が設定したはずのリミッターは、あっさり外れた。

 「そんなに力を入れるつもりはなかったんですけど。勝手に出力が上がってしまった」

 初回2死一、二塁、5番ホワイトへの2球目。動作解析システム「スタットキャスト」で、この日の最速99・3マイル(約160キロ)が計測された。外角へのボール球となったが、最後はスライダーで見逃し三振に斬った。

 6月6日ロイヤルズ戦以来、88日ぶりのメジャーのマウンド。2回無死、ピッチャー返しに右手を出して薬指付け根を打撲した。「あまり今までに手を出したことはなかった。(とっさの)反応というか。捕るつもりでした」。遊撃手に任せれば平凡なゴロ。投手の実戦勘が不足していたためのアクシデントともいえる。さらに、練習以上の負荷が掛かったことで、1、2回の投球中から腰に張りを感じたという。

 3回、平均5マイル(約8キロ)も球速が低下して、無死一塁からスプリンガーにスライダーを2ランされた。2回1/3を2失点。50〜60球の球数制限もある中で49球で降板した。しかし、マイク・ソーシア監督によれば、次週も登板する予定。9日(日本時間10日)のホワイトソックス戦が有力視される。「右肘の状態はいい。今日は我々にはエキサイティングな日となった」と笑顔を見せた。

 大谷は8月のブルペン投球再開前から「今すぐにでも投げられるくらい」などと周囲に話したが、右肘を痛めた後の復帰は慎重に段階を踏んだ。球団の寺田庸一トレーナー兼マッサージセラピストは「(3段階の中程度にあたる)グレード2の診断でも本人にはそれほどの痛みがない場合もある」と話す。綿密なプランを練り、一度も後退なく、復帰登板にこぎ着けた。今季中の投手復帰に懐疑的な声が上がっても「投げられるなら投げたい。そこはずっと変わらない。投手のこともしっかり仕事ができるように」と大谷の二刀流としての信念も揺るがなかった。

 「もちろん100(%)を求めてはいるけど、なかなか難しい。何とか次の登板までに、ちょっとでも良くなるように進んでいきたい」。体調に問題がなければ4日(同5日)のレンジャーズ戦の打者出場に備える。大谷の日常が戻った。

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