【星野氏の素顔】妻の他界に直面し見せた“異変”

[ 2018年1月7日 08:10 ]

星野仙一氏死去

星野新監督を励ます会でのありし日の扶沙子さん(1987年1月26日)
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 あんな監督を見たのは一度きりだった。97年沖縄キャンプ。朝の散歩を終え、いつものように監督と同じテーブルで朝食を取っていた時、何げなく目をやった頭に寝癖があった。ユニホーム姿も、私服姿も、男が嫉妬するくらいオシャレだった監督の“異変”。初めて本当の苦悩を知り、胸が痛くなった。

 キャンプイン直前の1月31日早朝、妻・扶沙子さん(享年51)が闘病の末に他界していた。ナゴヤドーム元年。告別式を終え、遅れて沖縄へ。報道陣に熱くシーズンの構想を語る姿を見た時、「燃える男」の強さを見た…つもりになっていた。最愛の人を失ったつらさや悲しみが、野球に打ち込むことで消えるわけではない。あの朝、「人間・星野仙一」に少し触れた気がした。

 一番好きな口癖は、「担当記者も戦力や」だった。監督としてだけでなく、人として愛し、尊敬できたからこそ、監督が率いるチームを心から応援できた。この喪失感は言葉にできない。ゆっくり休んでください。(大阪本社報道部デスク、堀田和昭 96〜98年中日担当)

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2018年1月7日のニュース