【星野氏の素顔】思い出のブロッコリー料理 自分より相手の喜ぶ顔を

[ 2018年1月7日 09:40 ]

星野仙一氏死去

12月1日、大阪で行われた殿堂入りを祝う会に出席した星野仙一氏
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 グラウンドでのぞかせる「闘将」の顔とは全く逆で、星野さんはさりげない気配りをしてくれる人だった。自分が楽しむより人を喜ばせる。その人が喜ぶ顔を見るのを楽しんでいるようだった。

 あれは08年の年明け。いよいよ五輪イヤーを迎え、食事をご一緒したときだ。都内のイタリア料理店。ブロッコリーの料理が出てきた。一口食べた星野さんは「うまいなあ。おまえ、あと全部食っていいぞ」と皿ごと記者に差し出してくれた。侍ジャパン監督を激励するつもりが、いつの間にかこちらの方がもてなしを受けていた。

 北京五輪本戦の選手選考。故障していた川崎(現ソフトバンク)を選んだ。疑問視する声もあった。理由を尋ねたら「一緒に予選で苦しんだヤツらと戦いたいんや」と。勝負に情を持ち込む。星野流を貫いた選考だ。その先にあるのは「選手たちの喜ぶ顔が見たい」という思いだった。

 今だから言います。実はブロッコリーが大の苦手でした。でも、必死に食べる記者を見てほほ笑む星野さんの顔は一生忘れません。(北海道総局編集部長、秋村誠人 08年北京五輪担当)

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2018年1月7日のニュース