赤星氏 星野氏の強烈“ゲンコツ”秘話 犠打成功も「逃げるようなヤツはいらん!」

[ 2018年1月7日 09:20 ]

星野仙一氏死去

2003年9月15日の広島戦で右越えにサヨナラ打を放ち、星野監督に祝福される赤星
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 星野氏の訃報を聞き、阪神OBの赤星憲広氏(スポニチ本紙評論家)も涙をこらえるのに必死だった。昨年12月1日、大阪市内のホテルで開かれた『殿堂入りを祝う会』で会ったのが最後。「その時も“体は大丈夫か?”とボクの体調を気にしてくれるような方。自分の弱い部分を最後まで見せない男・星野はさすがでした」

 03年9月15日の広島戦で右越えにサヨナラ打を放ち、優勝マジックを1としたシーンが印象的だ。「ネクストサークルで呼ばれて“周りをよく見てみろ。外野手があんなに前に守っててナメられとるやろ。ヒットゾーンだらけや。お前で決めてこい”とかけられた言葉は一生忘れません」。ガッチガチだったが、闘将マジックで冷静になれた。相手投手・鶴田の球種やゴロを打たせようとする配球も読めたという。「結果的には狙っていた球と違うカーブだったのですが(笑い)。でも、星野さんに抱きしめられる映像が、いろいろなところでいつまでも流れるので幸せ者です」と続けた。

 強烈に残っている思い出が、実はもう一つある。「一度だけ殴られたことがあります」。ある試合で初回、無死一塁で送りバントを失敗した。初回にバントのサインが出るのは珍しかったという。「3打席目にまた無死一塁で“打て”のサインだったが、自分の判断で送りバントをしたんです。今度は決めて、しかも先制点に結び付いたのですが、ベンチに戻ってくると裏でヤられました。“初回の失敗を気にしてるんだろうが、そんな気の弱いヤツは使わんよ”“いつも出さないバントを出したのは俺のミスなんや。それなのに…。逃げるようなヤツはいらん!”って…」

 その夜は眠れないまま次の日の朝を迎えたが、試合では勝利に貢献する大活躍だったという。すると「“お前は怒った方がいいのかもな”って…。その時の笑った顔が忘れられなくって…。振り返れば、やっぱり優しい方でした」。また流れそうになる涙をグッとこらえていた。

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2018年1月7日のニュース