広陵・中村 本塁打お預けも4戦連続マルチ 歴代最高打率・727更新も

[ 2017年8月21日 05:30 ]

第99回全国高校野球選手権第12日・準々決勝   広陵10―4仙台育英 ( 2017年8月20日    甲子園 )

<仙台育英・広陵>初回1死一塁、広陵・中村は左中間二塁打を放ち、滑り込む
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 準々決勝4試合が行われた。広陵(広島)の中村奨成捕手(3年)は、大会史上初の4試合連続本塁打はならなかったが、4戦連続マルチ安打となる2安打2得点の活躍。東海大菅生(西東京)は打線が3発と爆発した。なお、今大会の本塁打数が64本となり、2006年に記録された1大会最多本塁打の60本を更新。21日は休養日で、22日に準決勝が行われる。

 こんな光景は見たことがなかった。中村の名前がコールされると、球場全体が拍手と歓声で揺れた。ファンは、大会史上初の4試合連発を期待した。

 初回1死一塁。周囲の高まる期待を感じながらも、最優先するのはチームの勝利だ。「ホームランは意識しないが、出ればいいかなという気持ち」と力むことなく左中間へ二塁打をマーク。二、三塁と好機を広げ、3点先制をお膳立てした。

 3回は先頭で左前打で出塁し、二盗も決めた。いずれも本塁へ生還し、着々とリードを広げた。4戦連続マルチ安打。一発は出ず、大会最多となる85年清原(PL学園)に並ぶ5本塁打は、準決勝以降に持ち越しとなったが、更新のチャンスは十分にある。

 本塁打だけではない。5打数2安打で打率・667に下げたが、4打数4安打ならば、88年津久見・古閑憲生の大会記録、打率・727に並ぶ。日頃から「打率10割を目指している」と言うだけに、こちらの記録も最後まで諦めない。

 注目されながら活躍する裏には、学校の寮でも今大会の宿舎でも同部屋の平元からの“プレゼント”があった。前日の聖光学院戦では決勝弾を含む3安打4打点。部屋ではテレビのチャンネル権を手にし、お風呂も先に入り、消灯する時間も決めさせてくれた。平元は、いつも自分を気遣ってくれる女房役について「(中村は)リフレッシュできたと思います」と笑った。

 この日は9月にカナダで開催されるU―18ワールドカップの高校日本代表メンバーに選出された。早実・清宮とのクリーンアップも期待される中村だが「今は頭に入れず、甲子園の優勝だけを考えたい」と力を込めた。準決勝は、明豊戦を20安打13得点で勝ち上がった天理に決まった。「打ち合いになると思う」。準優勝した07年以来10年ぶりのベスト4。中村は広陵初の夏頂点と記録に挑む。

 ▽夏の甲子園の最高打率 最高打率の規定は79年以降、8強以上のチームに限られ、88年津久見・古閑憲生が・727をマーク。初戦の札幌開成(南北海道)との2回戦で右越えソロを含む4打数3安打、大垣商(岐阜)との3回戦でも2安打。準々決勝・広島商戦は0―5で敗れたが、自身は3安打。3試合で11打数8安打の活躍。近年では04年に横浜・石川雄洋が・714(4試合=14打数10安打)、駒大苫小牧・糸屋義典が・700(5試合=20打数14安打)。

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