ハム上原 広陵魂!血染めプロ1勝「本当なら抹消だった」

[ 2017年8月21日 05:30 ]

パ・リーグ   日本ハム9―3西武 ( 2017年8月20日    札幌ドーム )

<日・西>プロ初勝利を挙げ、栗山監督(右)と握手する上原
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 左人さし指の出血を拭ったユニホームの臀部(でんぶ)が血でにじんだ。2―0の5回1死一、二塁。日本ハム2年目・上原は山川を空振り三振、メヒアを右飛に仕留めた。

 5回3安打無失点。4連敗で迎えた今季5度目の先発でプロ初勝利をつかみ、「本当なら(出場選手登録)抹消だった。心の底からありがたい」と感謝した。

 3回から異変を感じた。「指の皮が裂けて、出血が止まらなかった」。5四球と制球が定まらず毎回走者を背負ったが、勝負どころはコースに投げきった。5回、1死を取った直後にベンチで治療。最後は意地だった。

 甲子園4強を決めた広陵の出身。甲子園出場が決まると、プロ入りOB有志で作ったTシャツとショートパンツを選手たちに贈った。この日は登板約30分前まで準々決勝をテレビ観戦。「(初回を終え)3―0で勝っていたので、プレッシャーになった」と笑うが、後輩たちの活躍が何より刺激になった。

 1メートル90の長身で遠投120メートル、50メートル走5秒68の抜群の身体能力を誇るが、明大時代は血行障害、イップスに悩まされ、一般企業への就職を考えたこともあった。1年目のキャンプでは紅白戦で1回持たず8失点で強制降板。どん底からのスタートだった。「実力は足りていないけど、これをきっかけに変わっていければ」。鮮血のプロ初勝利は“広陵健児”の意地だった。(柳原 直之)

 ◆上原 健太(うえはら・けんた)1994年(平6)3月29日、沖縄県生まれの23歳。広陵では2年秋からエースで、3年夏は広島大会3回戦敗退。明大では3年秋に東京六大学リーグ最優秀防御率を獲得した。15年ドラフト1位で日本ハム入団。好きな選手はドジャースのカーショー。趣味はカフェ巡り。1メートル90、83キロ。左投げ左打ち。

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