侍ジャパン次期監督 不透明であってはならない選考方法と人選理由

[ 2017年4月29日 11:00 ]

侍ジャパンの練習を見つめる小久保裕紀監督(左)と原辰徳氏
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 侍ジャパンが3月のWBCで準決勝敗退した翌3月23日付のスポニチで、監督人事権の明確化と選手選考の責任者にGMを置くことが必要であるとの指摘をした。

 あれから1カ月が経過し、侍ジャパンに「強化本部」を新設することが決まった。小久保裕紀監督がグラウンド外でも担ってきた選手との交渉や選手のコンディション把握などをサポートすることになるという。編成権を完全に分離するGM職とまではいかないようだが、よりよい体制作りへ1歩前進したと個人的には評価できると思う。監督人事に関しても「侍ジャパン強化委員会」(井原敦委員長)が担う方向で、組織の承認を得ようとしている。

 すでに監督人選に関しては、井原委員長が過去に五輪やWBCの代表監督にヒアリングを行ったという。その詳細を公にする必要はないが、来たるべき新監督の選考方法と人選理由は不透明であってはならない。侍ジャパンのスポンサーを努めた企業の関係者は「小久保監督は何を求められていたのか。人選の理由を明確に答えてもらえなかった。侍ジャパンのビジョンに共感して全面支援するという意味で、スポンサーとしても歯がゆい部分はあった」とWBC後に話していた。

 サッカー界と異なり、代表戦が定期的に組まれているわけじゃない。まして任期途中で解任されるといったシビアな面は、国際大会が数年に1度となる野球では難しい。ならば、それだけ長く任せるに納得できる「選考理由」は不可欠。20年の東京五輪へ、球団も、選手も、スタッフも、そして、応援してくれるファンが一致団結するための「ビジョン」と密接に関連してくる。

 「監督」と「強化本部」の力関係は、新監督との間で醸成していくものだと思うが、サポート体制が整ったからといって、監督は代表戦だけ指揮を執っていればいいわけではない。12球団の試合を飛び回り、常に代表候補選手の機微を感じることが大切になる。少なくとも、小久保監督はそうしてきたし、チームの一体感を生んだ。

 監督としての実績を重視すれば、若さという点は差し引かれる。ただ、少なくとも「野球への情熱」だけは誰にも負けない監督を選んでほしいと願っている。(記者コラム・倉橋 憲史)

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