【石井一久の視点】マー、冴えた左打者へのアウトロー レールを転がるように

[ 2017年4月29日 09:00 ]

9回裏2死、最後の打者アンドリュー・ベニンテンディを二ゴロに仕留める田中将大。フェンウェイ・パークで完封勝利を成し遂げた
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 フェンウェイ・パークで完封するなら、この投球という田中の内容だった。左翼が狭いため、左打者でも打球が上がると、通常なら左翼への深い飛球がグリーンモンスターに当たって二塁打になってしまう。この日一番良かったのは、5人が並んだ左打者へのアウトロー。まるで一塁側を踏むプレートからレールが敷いてあり、その上をボールが転がっているかのように、同じ軌道で初球から簡単にストライクを取っていた。

 このように主導権を握ると、田中はコントロールがいいイメージがある分だけ、打者はどうしても早打ちになる。初回はややボールを見られたが、2回以降は付け入る隙を与えなかった。

 メジャーの打者はローボールヒッターが多いが、田中は相手のヒッティングポイントより一つ低めのゾーンに落としたり、曲げたりすることができる。だから、打球を上げるのが難しい。内野ゴロは15(1併殺)。ただ、フェンウェイ・パーク仕様の投球をしたわけでなく、これがどの球場でも通用する本来の田中の投球だ。

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2017年4月29日のニュース