工藤監督 松坂に開幕2軍通告も快投評価「新しい投球スタイルできた」

[ 2017年3月26日 06:10 ]

オープン戦   ソフトバンク1―0広島 ( 2017年3月25日    ヤフオクドーム )

<ソ・広>工藤監督(後列左)とタッチをする松坂
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 快投も吉報届かず…。ソフトバンク・松坂大輔投手(36)が25日、広島戦に先発し、7回を無安打6奪三振。3投手による継投ながら、オープン戦では22年ぶりとなるノーヒットノーランを演出した。しかし、この日からワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場していた3投手が合流し、開幕ローテーション切符は「完売」。試合後、工藤公康監督(53)から開幕2軍が正式に通告された。

 試合後、松坂が一塁側ベンチで見せた笑顔は、日本球界復帰3年目で一番だった。7回を無安打投球。8回は五十嵐、9回はサファテがバトンをつなぎ、ノーヒットノーランリレーを完成させた。ただ、それから2時間半後にヤフオクドームを出た顔に歓喜の余韻はない。武田、千賀のWBC組の体調面に問題がなかったことを受け、試合後、監督室で摂津とともに開幕2軍が伝えられた。

 「残念ですけど、オープン戦残り2試合で(開幕)ローテーションが決まっていないわけがない。試合前からそれは分かっていた。つなげるように投げるだけだった」

 悔しさを見せないように淡々と振り返った松坂だが、102球の内容は間違いなく「合格圏内」だった。立ち上がりこそ、制球に苦しんだが、3回途中から「投げやすかったので」とプレートを踏む位置を一塁側から真ん中へ変え、自在にボールを操れるようになった。

 圧巻は5回2死からの4者連続三振だ。最初の打者だったペーニャと4人目の安部への決め球は、外角のボールゾーンからベースへ進入させる「バックドア」で見逃し三振。剛球でねじ伏せるのではなく、打者の迷いを誘発させる技巧派への転向。「自分の中ではこういう形でやりたいと思っていたものが、最後に表に出た」。100球以上投げる(102球)のは、15年の日本復帰後初めて。7回で出した走者は2四球のみの新境地だった。

 ノーワインドアップから投げ、直球の最速は142キロ。全盛期とあらゆるものが違う。18日の西武戦(メットライフドーム)は4回途中、右内転筋を痛めて降板し、オープン戦の復帰は絶望的と思われた。22日の阪神戦(ヤフオクドーム)で中田が開幕ローテーションの6人目を確定させ、無理をする必要はなかった。ただ、それでもマウンドへ上がり、新しい姿を示すことができた。工藤監督も「彼の新しい投球スタイルができた」と一定の評価を与えた。

 今オープン戦最多3万4061人が見守った復活の兆し。「今日みたいな試合を多く見せたい」と松坂は言う。今後は2軍で調整するが、すぐにヤフオクドームに戻るとその胸に刻んでいた。 (福浦 健太郎)

 ▼五十嵐 自分の仕事ができたのは良かった。ノーヒットはおまけ。(松坂について)お互い結果が求められる立場で、結果として表れてハッピー。

 ▼サファテ 松坂がノーヒットなのは知っていた。シーズンでもこういう試合ができれば良い。

 ≪1―0で達成は52年ぶり2度目≫2リーグ制後、オープン戦のノーヒットノーランは95年3月8日にオリックスがダイエー戦(4人継投)で達成して以来22年ぶり9度目。チームでは南海時代の88年3月23日ヤクルト戦で西川が完投で記録したのに次ぎ2度目だ。この日の得点は7回川島の適時安打による1点だけ。オープン戦の1―0ノーヒットノーランは65年3月18に阪神が近鉄戦(2人継投)でマークして以来52年ぶり2度目。

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