【検証 侍ジャパン】小久保氏だからやれた…“ボランティア同然”代表監督の地位向上を

[ 2017年3月26日 11:30 ]

<ソ・広>ソフトバンクの藤本コーチ(右)と握手する小久保監督
Photo By スポニチ

 23日の帰国会見で侍ジャパン・小久保監督は「代表監督は易しいものじゃなかった」と言った。負ければ敗戦の責任を一身に背負う。だが、代表監督は現状では「ボランティア」の域は出ない。野球評論家をしながら、国際大会や強化試合の期間に代表監督に専念する形となる。

 NPBエンタープライズの今村司社長は「いろんな方々からご意見をいただきながら進めないといけない。監督の地位向上は不可欠」と語る。報酬面も含めて「代表監督」という職業でなければいけない。侍ジャパンを常設化したのならなおさらである。元代表コーチの一人は「小久保さんだからこそ、あれだけ熱意を持ってやれたが他の人ならどうか。敗戦の責任を背負うリスクが大きすぎて、将来的に12球団の監督の可能性のある若い世代の指導者は受けなくなる」と危惧する。

 小久保監督は3年半の間、代表選手とシーズン中にプライベートで会食をし、コミュニケーションを図ってきた。中田も「あれだけ選手のことを思ってくれる監督はそうそういない」と話す。3月、11月の代表活動期間だけでは、信頼関係は生まれない。ならばなおさら、年間を通じて代表監督として活動できる環境、待遇面を整えることは急務である。

 ここ数年で、U―12からトップチームまでが侍ジャパンという形でピラミッド構造は定着化してきた。12球団の幹部は「U―23の監督から実績を積み上げてトップチームの監督やコーチにという考えがこれから出てくる」と話す。全世代を横断する指導体制など、中長期的プロジェクトも模索する段階に来ている。プロアマ合同の日本野球協議会に設置されている侍ジャパン強化委員会が担うべき責務は重い。さまざまな施策を打ち出す時間は思ったより多くはない。 (侍ジャパン取材班)

続きを表示

2017年3月26日のニュース