レアード MVP満弾 シリーズ3発目「このチームの一員で幸せ」

[ 2016年10月30日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2016第6戦 ( 2016年10月29日    マツダ )

<広・日>8回2死満塁、レアードが左越えに満塁弾を放つ
Photo By スポニチ

 日本一の「寿司」職人だ。第6戦、日本ハムは4―4の8回に打線が爆発。2死満塁から中田翔内野手(27)が勝ち越しの押し出し四球を選ぶと、1点追加の後にブランドン・レアード内野手(29)が満塁本塁打を放って試合を決めた。レアードは今シリーズ3本塁打でMVPに輝いた。

 お立ち台で今季一番の笑顔で寿司ポーズを決めた。日本一を決定づける左中間満塁弾を放ったレアードは「絶対に打ってやろうと思っていた。MVPは最高の気分。これほどの大切な試合、大事な場面で打てて、これ以上ないうれしさがある」と喜びを爆発させた。

 来日2年目。「辛抱強くボールを見極めれば、自分有利のカウントをつくれる」ことを学んだ。1年目は投手の制球力の良さにボールを追いかけたが、パ本塁打王の肩書を引っ提げて臨んだ短期決戦。相手投手のマークをかいくぐってCSファイナルSの2本塁打に続き、今シリーズ3本塁打を放った。8回の満塁弾も、ジャクソンの外角スライダーを見極め、2ボールから真ん中高めに浮いた3球目を叩いた。日本で忍耐と集中力を磨いたキングは、大舞台でその力を証明した。

 チームメートへの感謝の思いが常にある。「僕がMVPを選ぶ権利があったら、バースだと思う。3勝したし、あのヒットだからね」と話し、歓喜の輪では、バースと抱き合った。栗山監督への感謝の思いも原動力となった。1年目。絶不調の時に「2週間だけ待ってくれ」と伝えた。だが、なかなか不振を脱出できず「あと1カ月待ってくれ」と延期を申し出た。それでも指揮官は使い続けてくれた。だから、シーズン、短期決戦で打順が日々変わっても文句一つ言わない。「今の自分があるのは栗山監督のおかげ。監督を胴上げしたかった」と言った。

 「天国にいる祖父も誇りに思ってくれていると思う。祖父が打たせてくれたホームランだ」

 CSファイナルS直前の今月上旬に死去した祖父のジェラルド・リー・レアードさんと交わした日本一の約束も果たした。本拠・札幌ドームへは地下鉄で電車通勤。駅でサインを待つファンの数も増えた。チームに、ファンに必要とされる選手になったと実感する。
 「信じられない才能にあふれ、決して諦めないチームの一員で幸せだ。ファンの声援もなかったら日本一にはなれなかった」。レアードの心を感謝の思いが支配していた。 (倉橋 憲史)

 ≪93年西武以来2度目≫レアード(日)が8回に満塁本塁打。第5戦では西川が満塁サヨナラ本塁打を放っており、チームで同一シリーズ2本は93年西武が第5戦で鈴木、第6戦で秋山がマークして以来2度目。レアードの本塁打は今シリーズ3本目でチームでは延べ7人の2本を上回り同一シリーズ最多になった。またレアードは今季39本で本塁打王。シーズン本塁打王の満塁本塁打は69年王(巨)に次いで2人目。

続きを表示

2016年10月30日のニュース