お手柄の巨人トレーナー 人命救助につながった「G hands」の意識

[ 2016年7月12日 11:05 ]

森下・高津消防署長から表彰状を受け取る巨人トレーナーの根津氏(右)

 6月3日、午前9時ごろ。川崎市高津区の自宅付近のバス停で下車した巨人・根津朋将トレーナー(37)。数十メートル前で、突然「バタッ」と激しい音がしたという。「何だ?」。目を向けると、男性がうつぶせで倒れていた。すぐに駆け寄り、気道を確保するためあおむけに起こした。

 「初めてだったし“これでいいのかな”という思いはありました。でも、何とかして助けたかったですし、とにかく“やるしかない”と思いました」

 男性は呼びかけに応じなかった。近くを歩いていた人に119番通報を依頼し、自動体外式除細動器(AED)を取ってきてもらった。その間、根津トレーナーは胸骨圧迫を開始。持ってきてもらったAEDパッドを男性に装着すると、電気ショックの指示があったため、除細動を1回行うとともに胸骨圧迫を継続した。いわゆる一次救命処置を完璧に実践した。

 間もなく男性に反応が表れる。呼びかけにも応じるようになった。胸骨圧迫を中断。気道を確保しながら、救急隊の到着を待った。適切な処置のおかげで容体の回復した50代の男性は、現在では社会復帰できるまでに回復したという。「一次救命がなければ亡くなっていた可能性もあった」と関係者。根津トレーナーの勇気ある行動が、一つの大切な命を救った。

 巨人では社会貢献活動発展させ、より支援の輪を広げるために「G hands」というプロジェクトを昨年3月から開始した。これは「ジャイアンツに関わる全ての人々が、社会に貢献できる人材となることを目指すプロジェクト」とされ、その活動は救助活動や募金活動、病院活動など多岐にわたる。一次救命処置については昨年、東京ドームとジャイアンツ球場で全球団関係者を対象に、体験していた。参加していた根津トレーナーも「学んだことを実際にできたことが良かったです。一次救命ができれば、命が助かることがあるということを証明できたと思います」と振り返る。

 7月4日には、根津トレーナーに対し、川崎市高津消防署から表彰状が贈られた。横浜商科大まで野球を続け、その後、専門学校で鍼灸・マッサージの資格を習得。06年から現職についている。その実力を買われ、10年からは高橋監督の現役時代の自主トレにも帯同していた。腕もさることながら、爽やかな笑顔にファンも多い、イケメントレーナー。「今回の報道が一次救命処置(BLS)の普及につながってほしいと思っています」と呼び掛けた。

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