ジーター ヤンキースの遊撃手に誇り「世界で一番素晴らしい仕事」

[ 2014年9月9日 05:30 ]

<ヤンキース・ロイヤルズ>セレモニーの特別ゲストで登場のマイケル・ジョーダン氏(左)とデレク・ジーター(右)

ア・リーグ ヤンキース0―2ロイヤルズ

(9月7日 ニューヨーク)
 今季限りで現役を引退するヤンキースのデレク・ジーター内野手(40)が7日(日本時間8日)、ロイヤルズ戦の試合前に引退セレモニーに臨んだ。元NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダン氏(51)がサプライズゲストとして駆けつける中、「ニューヨークの貴公子」と呼ばれた男は、普段通りのクールさを崩すことなくスピーチ。ニューヨーク市はこの日を公式に「デレク・ジーター・デー」と定めた。

 0―2で敗れた試合後の会見。マイクの前にレコーダーとして置かれていたスマートフォンが鳴った。女性記者のものだった。ジーターはその端末を手にすると、表示された記者の夫の名前を読み上げて電話を取り「彼女が後でかけ直すよ」と一言。電話を切り、会場はどっと笑いに包まれた。こんな日でも普段通りのクールさとユーモアを貫いていた。

 試合前、総立ちの4万8110人が見守った3分間のスピーチ。「Thank(感謝)」という単語を12回使い、プライドと感謝を込めた一節が胸を打った。

 「私は、世界で一番素晴らしい仕事をしていた。それは、ヤンキースのショートストップ(遊撃手)です――」

 セレモニーを盛大に行うため、試合開始を30分遅らせることが前日に決定。親交のあるNBAの神様、マイケル・ジョーダン氏がサプライズゲストで登場した。2人は94年、ともにマイナー選手としてアリゾナ秋季リーグで初対面して以来の友人。当時、野球に挑戦していた11歳年上のジョーダン氏は、当時20歳の有望株の能力に目を奪われたといい「私にとってのアイドル。素晴らしい先生だった」と評した。

 個人記録に一切興味を示さないジーターが最も誇りにするのは、ヤンキース一筋で球団最長記録となる20年間プレーしたこと。万雷のジーター・コールの中、「試合をしないとね」と最後の一声で収めると、初回の第1打席で3450安打目(歴代6位)となる遊撃内野安打を放った。守備でも華麗なグラブさばきを連発した。

 チームを5度のワールドシリーズ制覇に導き、ついた称号は「ザ・キャプテン」。ニューヨーク市はジーターの功績を称え、2014年9月7日を「デレク・ジーター・デー」に制定した。「まだ数週間試合がある。変な感じだが、一生忘れない日になる」。レギュラーシーズンは残り21試合。ちょっぴり感傷的になったものの、勝負師の顔は崩さなかった。

 ◆デレク・ジーター(Derek Jeter)1974年6月26日、米ニュージャージー州出身の40歳。ミシシッピ州カラマズー高から92年ドラフト1巡目(全体6番目)でヤンキースに入団し、95年にメジャーデビュー。96年には打率.314で新人王に輝いた。00年には史上初めてオールスター、ワールドシリーズのMVPを受賞。03年にヤンキース11代目のキャプテンに就任。11年7月10日のレイズ戦で、球団史上初の通算3000安打を達成した。ゴールドグラブ賞5度受賞。オールスター選出14度。1メートル91、88キロ。右投げ右打ち。独身。

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2014年9月9日のニュース