自己タイ155キロ出た!マー君今季初完封 防御率1位

[ 2011年6月16日 06:00 ]

<広・楽>田中は今季初完封勝ちを納め先制2ランのガルシア(右)と笑顔でハイタッチ

交流戦 楽天4-0広島

(6月15日 マツダ)
 楽天・田中将大投手(22)が15日、広島戦で今季初完封勝利を挙げ、防御率1・19で再びリーグトップに返り咲いた。7回に無死三塁のピンチを迎えると、自己最速タイの155キロをマークするなどギアチェンジ。3者連続三振に仕留めて、引導を渡した。上体に頼らない新フォームに変えたことで、今季は試合終盤でも球はキレキレ。余力十分での完封劇だった。

 アドレナリンを一気に放出させた。7回1死三塁。田中がこん身の力を込めた直球に岩本のバットは空を斬った。自己最速タイの155キロ。続く天谷にも155キロを投げた。敵地・マツダスタジアムがどよめいた。

 「あそこは本当に(ギアを)上げました。155キロ?知ってます。今年一番じゃないですか。最高の結果になってよかった」。この回先頭の丸に二塁打を浴び、さらに自らの暴投で無死三塁とすると顔付きが変わった。栗原、岩本、天谷を3者連続空振り三振。155キロを投げ、さらに決め球のスプリットとスライダーで仕留めた。「冷静だったけど三振、三振と来てたんで、より一層力が入った」。09年7月20日ソフトバンク戦(ヤフードーム)以来の155キロだが、この時は9回の救援登板だった。先発では初めて。しかも終盤の7回80球を過ぎてスピードを上げた。

 新フォームが球速アップにつながった。毎年のように右肩痛などで戦線離脱。地肩の強さが田中の特徴だが、その上体の力に頼った投球が故障を招いた。そのため昨秋キャンプから下半身主導で無駄な力を入れないフォームづくりに着手。太腿内転筋を使い、そこにためたパワーを上半身に伝える。そして右腕の力をできるだけ抜き、リリースする瞬間だけ力を込める。以前ほどの躍動感はなくなった。6回までの最速は151キロ。ただ、余力を十分に残して終盤を迎えた。

 そしてピンチを背負った7回に救援投手のような全力投球。だから田中は「(155キロは)どの回でも投げる自信はありますよ」と振り返り、星野監督も「田中は(ピンチで)ギアを上げるタイプ。流しといて、あかんと思ったらバシッとな」と評した。落差のあるスプリットも最速で147キロを計測。直球とさほど変わらぬスピードが田中の凄さを表していた。

 3安打9奪三振。待望の今季初完封勝利に「もちろんうれしい」と喜んだ。開幕から10試合全て2点以内に抑え、防御率は1・19。前日に日本ハム・武田勝に奪われた1位の座にも一夜で返り咲いた。球宴ファン投票では15日現在で日本ハム・ダルビッシュに1万票以上の差をつけられて2位(7774票)。ライバルはこの日連続無失点イニングが46回でストップした。一方、田中は15回連続無失点中。「ダルさんを抜く?無理。無理です」と苦笑いしたが、ダルビッシュを超えられるのはマー君しかいない。これからもスコアボードに0を刻み込み、球宴ファン投票でもライバルを追い上げる。

 ≪本拠地以外では初≫田中(楽)が今季初完封で6勝目。防御率を1・19とし、2日ぶりにパの1位に返り咲いた。完封は通算7度目。過去6度は全てKスタ宮城で記録しており、本拠地以外では5年目で初めてだ。また、交流戦では09年5月20日のヤクルト戦以来3度目の完封。交流戦最多完封はダルビッシュ(日)の5度だが、斉藤和、杉内(ともにソ)、福原(神)に並ぶ2位タイになった。なお、この日は継投ながら西武も完封勝利。今季交流戦の完封数は35となり、05年の33を抜く最多記録。リーグ別ではセの9に対しパが26と圧倒している。

 ▼楽天・佐藤投手コーチ よく完封したね。どんどん追い込んで、ランナーを出しても粘って投げていた。(今度は)156キロいけるやろ。

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2011年6月16日のニュース