ノムさん 「高校野球」で交流戦最下位脱出

[ 2009年6月3日 06:00 ]

<楽・神>9回 野村監督は、選手交代を告げ笑顔でベンチに引き揚げる 

 ノムさん、高校野球戦法で虎退治だ。楽天は2日、連敗を3で止め、交流戦最下位から脱出した。同点に追いついた4回に“悪球打ち”の中村真人外野手(27)がボール球を決勝の中前打。3投手の継投で逃げ切った。野村克也監督(73)は今季初めて試合前のウオーミングアップに野手全員を強制参加させるなど熱血監督に変身。再浮上の手応えをつかんだ。

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 【楽天3-2阪神】ROOKIESナインもビックリだ。野村楽天が全員野球で3連敗でストップ。1点差を守っての勝利に野村監督は満足そうにおどけた。
 「疲れるのお。負けるときは楽に負け、勝つときには苦しんで勝つ。“勝ちに不思議の勝ちあり”と言うんや。同じこと何回も言っている。すみません、勉強してきます」
 3連敗で迎えた阪神との交流戦最下位争い。沈滞ムードのナインにカツを入れた。「ずっと見てたけどあまりにも動かないから、ついにキレた。高校野球で行けと言ったんや。まだまだ自立心というかプロフェッショナルと呼べるヤツはいない。アマは強制の世界。プロは自主性の世界だけどな」。これまで各自に任せていたウオーミングアップにダメ出し。野手全員を通常より40分早く招集し、大きなかけ声を出す高校野球仕様に変えた。
 試合も高校野球だった。1点を追う4回1死一塁から、打率2割3分台と悩める中村紀にヒットエンドランのサイン。右前打で一死一、三塁と好機を広げると憲史が右前同点打で続いた。さらに1死満塁からは中村真が、地面スレスレのボール球を中前にはじき返す決勝打。「ワンバウンド以外で芯に当たるならどこでも振ろうと思っていた。気持ちで打ちました」。シダックス時代の教え子の悪球打ちに野村監督は「ワンバウンドだぜ横から見てたら。オレも経験豊富だけどあれは打てん。安物の天才が多いんだよ。野村野球とはほど遠いけど、まさに気だ」と今季のスローガンの「氣(き)」をもじって笑った。
 先発・ラズナーも7回2失点で4月26日のソフトバンク戦以来の3勝目。指揮官は「出すか出さないかといえばダスナーだな。アメリカへ帰す話をしてた。きょうがラストチャンスだった」と言ったが、来日最多の135球も外国人投手には異例の熱投だった。
 5回には中村紀が金本の三邪飛をカメラマン席に飛び込んでキャッチ。年俸で言えば中村真は1000万円、中村紀は2年総額3億円。高校野球のような全員野球に指揮官は「記録を残すことがチームのためというのは間違ってる。チームのためにやったことで記録が残るのが本当。安月給のやつもベンチで座って声援飛ばしてる。裏方もいる。そういうのを考えてやらんといかん」。アマ野球経験もある野村流の連敗脱出法だった。

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2009年6月3日のニュース