イチロー 自身タイの記録を「知りませんでした」

[ 2009年6月3日 06:00 ]

<マリナーズ・オリオールズ>初回、二塁打を放ち一塁をまわるイチロー

 マリナーズのイチロー外野手(35)が1日(日本時間2日)のオリオールズ戦で初回に左中間二塁打を放ち、連続試合安打を25に更新。自身が持つ球団記録に並んだ。前回記録した07年時とは異なり、1試合ごとに重圧がかかる連続試合安打記録を意識せず、シーズン中の1試合という位置づけで臨む考え。周囲の高まる期待にイチローはどんな答えを出すのだろうか。

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 【マリナーズ0-1オリオールズ】試合後のクラブハウスでイチローはクールに言った。「(記録は)知りませんでしたね。23か4か5かは知らんけど。近いだろうなとは思ってましたけどね」。報道陣に25試合連続安打の自己タイ記録となったことを知らされ「ああ、そうですかと思いました」と無関心を装った。
 初回の第1打席であっさり並んだ。左腕ヒルがカウント0―1から投じた142キロ外角直球を左中間へ。それでも「(気持ちの高まりは)全然なかったです。だって知らないんだもん。関心がないということはないけど、執着もしていない」と言った。
 くしくも25試合連続安打を達成した日は07年と同じ6月1日。だが「記録を知りながらやっていた」という前回と記録への向き合い方は違う。2年前は23試合の自己ベストの壁を強く意識し、それを乗り越えるために重圧と正対した。それが今回は「打たなきゃいけない時期が後半は出てきますけど、今はそういうことはないので。(記録を)意図的に知ろうとしていないのはあるけど、探しているわけじゃない」と語る。年間を通じて安打を重ねていく過程に意識を集中させている。
 200安打を考える時、イチローは「1試合1本で162本をベースに考えることもあるし、30~40試合はノーヒットになる可能性があるとする考え方もある。どちらも正解でしょう」と言う。無安打も受け入れながらシーズンを戦っている。それと相反する連続安打を意識し過ぎると、自分を苦しめる。前回の経験も加味され、イチローの考えに違いが生まれた。
 この日零敗を喫するなど、チームの沈滞ムードの中での闘いも強いられる。それでも、周囲はイチローに期待する。かつて、ジョー・ディマジオ(ヤンキース)の持つ56試合連続安打の大リーグ記録への挑戦について、こう話したことがある。「打率はコントロールできてしまう。ある地点までいって、あと全部休めばできるわけでしょ。それが56っていうのはできない」。首位打者争いとも、シーズン200安打とも違う次元にある連続試合安打。数々の記録を打ち立ててきたイチローにとっても、6月は新しい挑戦となる。

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2009年6月3日のニュース