進化した上原 リベンジの好投にファン総立ち

[ 2009年4月26日 06:00 ]

<オリオールズ・レンジャース>上原は7回途中で降板、総立ちのファンの拍手に応える

 【オリオールズ4-5レンジャーズ】借りを返した。オリオールズ・上原浩治投手(34)が24日(日本時間25日)、レンジャーズ戦に2度目の先発。両コーナーへの制球がさえ、6回2/3を4安打2失点の好投を見せた。5回0/3を7安打7失点だった13日の同戦とは“別人”の内容。降板時にはスタンディング・オベーションも初体験した。チームは9回2死から逆転負けを喫して上原に白星こそ付かなかったが、登板ごとに確実に進化を遂げている。

 救援陣が崩れて3勝目は逃したが、上原は「内容はとても良かった。前回ボコボコにやられて、やり返したいと思っていた」と充実感いっぱいだった。4―2の7回2死で降板した際には、2万4000人の地元ファンから総立ちで拍手を送られた。「初の経験ですからうれしいですよ。(交代は)スタンディング・オベーションを経験させてあげたいという思いからじゃないですかね」。帽子を取り大声援に応える。勝ち星にも替えがたい最高の瞬間を経験した。
 約30センチの違いが、自身の視野と投球の幅を大きく広げた。キャンプからずっと三塁寄りの端を踏んでいた幅約61センチのプレートでの右足の位置を、中央に変えた。「巨人時代もやってました。(球の)軌道が全然違う」。さらに、前回対戦で外角を中心に配して痛打された反省から大胆に内角を突いた。また、クレイニッツ投手コーチは「足がクロスして投げる傾向があって注意した」と明かす。中央の位置から打者に正対し、球を微妙に動かしながら内外角に投げ分けることで二重、三重に打者が的を絞りづらくなった。中4日でスタミナが心配されたが、最速91マイル(約146キロ)を記録するなど球威も十分だった。
 「何とかして抑えたかった」と警戒したのは前回二塁打を浴びたキンスラーと、一発を許したヤングの1、2番。3回こそキンスラーに左前適時打されたが、これが2人で、この試合唯一の安打。内外角の揺さぶりが効いた証拠だ。4試合目の登板で初の無四球。トレンブリー監督は「上原は相手を観察して出方を読むことができる。だから同じチームと再戦すると有利になる」と評した。
 この日の気温は19度と、暖かい気候にも助けられた。「本当に楽しく野球をやっている。気持ちいいですね」。プレートの踏む位置は変えても、同じ轍(てつ)は踏まない。それは日本でも米国でも一流投手の証だ。

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2009年4月26日のニュース