ティンバースポーツ“歴代王者”に宿る職人芸の美学 木片舞う壮観さと勝つ技術 日本はライブ体験で必ずハマる

[ 2025年11月17日 10:30 ]

2013、22年の個人戦世界王者のオーストラリア代表・ブラッド・デ・ローザ選手
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 チェーンソー、のこぎり、斧を駆使し丸太を切り倒すタイムを競う競技「ティンバースポーツ」。イタリア・ミラノで開催された今年の国際大会は、団体戦でオーストラリアが6連覇、個人戦ではニュージーランド代表のジャック・ジョーダン選手が初優勝を飾った。“木を切る”というシンプルな動きの中に迫力、そして木片が舞う壮観さが宿り、観客も熱狂する。まだ日本ではなじみの薄いこのスポーツ。2013、22年の個人戦世界王者であるオーストラリア代表・ブラッド・デ・ローザ選手にその魅力や競技の原点について語ってもらった。

木片が舞い、歓声轟く“木こりの格闘技” 体感した迫力と興奮

 オーストラリアの多くの選手は、父、そしてその父…と代々受け継ぐ“家業”として競技に触れることが多いという。しかし、ローザ選手の場合は、家族で初の競技者となった。16歳の時、知人に誘われて“木こりの格闘技”の世界に踏み込んだ。すぐさまハマった理由は、ただ木を切る作業が好きだったからだけではない。「コンペティション(競争)が好きなんだよ」。自分の強さを目の前の勝負で証明できることが何よりの魅力だったという。

 競技を続けていくうち楽しみは広がった。国内の大会を転戦し、世界へ飛んだ。「オーストラリア中を旅行できるし、今は世界中も回れる。それが最高」。木屑と汗にまみれる舞台は“旅の自由”も与えた。

 勝つためには何が必要か。「パワーはもちろん。テクニックが本当に重要」。ただ力があれば、強く振れば勝てる競技ではない。チェーンソーで丸太をフラットに切る、ポイントを定め正確な角度で斧を振り込む…コントロールする力も武器になる。そのために徹底するのがバランス力と体幹の強化。水泳で軸をつくり、腕と体幹の筋肉を鍛え上げ、刃を入れる角度を支える。さらにスイングの正確性を磨くためゴルフのような“細部のテクニック”にフォーカスしたトレーニングも行うそうだ。

 同国の選手の多くは林業やエンジニアなどの本業を持ちながら、小さな競技会で経験値を積み、大イベントで成績を残してステージを上げて代表権を争う。団体戦の担当種目については、“メンバーの中で誰がその国で一番強いか”を決めて種目を割り振る。ローザ選手は刃渡り約2メートルの大型のこぎりで引き切る「シングルバック」を担当し、チームの6連覇に貢献した。

 日本ではまだなじみが薄い。普及について問われると、こう即答した。「まずはライブで観戦して」。レーザーのように刃が入り、木のクズが散り、観客が「うおーっ」と息を呑む。映像では伝わらない感動と衝撃を体感してほしいのだと。

 日本で盛り上げるため、多くのファンを獲得するために必要なのは「ライブ体験を提供し、その感覚を味わってもらうこと」。目の前で丸太が豪快に正確無比に切り倒されていく…。その瞬間をを肌で感じればきっとハマる。その言葉には勝負を知る男の確信があった。

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