原点は19世紀の木こり対決…伝統の林業から世界競技へ ティンバースポーツ“進化”の背景

[ 2025年11月17日 10:30 ]

斧で股の間を通し、丸太を両側から切断する「アンダーハンドチョップ」
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 チェーンソー、のこぎり、斧を駆使し丸太を切り倒してタイムを競う歴史ある競技「ティンバースポーツ」。ドイツに本社を置く世界No.1チェンソーブランド「STIHL(スチール)」社によるこのエクストリームスポーツの国際大会がイタリア・ミラノで開催された。地域の木材切断コンテストから始まり、今や世界イベントになるまでに進化したこの競技。その歴史と国際化した経緯とは。

木片が舞い、歓声轟く“木こりの格闘技”体感した迫力と興奮

 鍛え抜かれた肉体、会場にとどろきわたる木の切断音。その迫力に客席からはどよめきが起こる。団体戦は1チーム4人の選手が4つの種目をリレー形式で行い1対1でタイムを競い、個人戦はさらに、長さ約2メートル超の丸太の表面にボードを挿し込んで登る「スプリングボードチョップ」、排気量300㏄の大型チェーンソーを使う「ホットソー」の2種類を加えた計6種目の合計タイムで争われる。

 この競技の歴史は古い。19世紀後半、オーストラリアのタスマニアやニュージーランド、米国など世界中の農夫や木こりが「誰が一番早く丸太を切れるか」を競ったのが起源だという。1985年にスチール社が正式な国際競技として体系化したが、その背景には同社の「ブランド戦略」と「林業全体に対する貢献」という2つの大きな目的があった。

 「まず、スチールの素晴らしい製品を使うからこそ素晴らしいパフォーマンスが引き出せる。品質の高さやパフォーマンスの良さをブランドとして表現できるというのが一つ」と話すのは同社コンテンツマーケティング&製品広報部門ヘッドのティム・マイヤー氏。さらにもう一つの大きな意味として、林業へのリスペクトがあると語る。

 「林業はつらく大変な仕事。誰もがやりたいと思えるものではないし、また素晴らしい仕事をしているのにスポットライトが当たらないという状況があった」と説明。「そこにスポットライトが当たるようなイベントをすることで林業自体に注目を集めようと考えました」。競技の国際化は単に製品を売るだけでなく業界全体への敬意でもあった。

 さまざまな企業がスポンサーシップとしてゴルフやテニス、サッカーなどのメジャーな競技を選ぶ中、スチールはそれらを選ばなかった。「新しいこと、つまりイノベーションという考えも含めて、ありきたりなものではないものを作り上げようという方針を持っていた」。このティンバースポーツの立ち上げは「イノベーションでで前進していく」という同社の哲学の一部で、ブランドのユニーク性を際立出せる手段にもなっているのだ。

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