錦富士 相撲王国青森の伝統守るぞ! 十両勝ち越しで再入幕前進「僕ら世代で終わらせられない」

[ 2025年9月24日 05:00 ]

大相撲秋場所10日目 ( 2025年9月23日    両国国技館 )

<秋場所10日目>突き落としで藤青雲(手前)を破る錦富士(撮影・沢田 明徳)
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 西十両3枚目の錦富士(29=伊勢ケ浜部屋)が藤青雲(27=藤島部屋)を突き落としで破り、5連勝で勝ち越しを決めた。春場所以来4場所ぶりの再入幕へ前進した。青森県勢では幕内・尊富士(26=伊勢ケ浜部屋)が初日から休場で九州場所(11月9日初日、福岡国際センター)での十両転落が確実。明治時代の1883年から142年続く同県出身の幕内力士を死守するためにも錦富士に懸かる期待は大きい。横綱・豊昇龍(26=立浪部屋)が若元春をすくい投げで退け、10連勝で単独トップを守った。

 錦富士が青森の希望の星として輝きを増してきた。立ち合い、頭で当たるともろ手で押し込む。すかさず左の突きを外すと藤青雲は前のめりに落ちた。堂々と勝ち越しを決め、4場所ぶりの再入幕へ大きく前進した。日々、幕内の星取表は見ない。「間違いないのは残り全部勝てば上がる」。目の前の一番だけに集中している。

 今、青森県勢が大ピンチを迎えている。1883年に一ノ矢が新入幕して以来、幕内力士は142年、途絶えたことがない。だが今場所は同じ伊勢ケ浜部屋で県勢唯一の幕内・尊富士が上腕二頭筋断裂のため初日から休場し、来場所での十両転落が確実な状況。弟弟子に代わり、栄光の歴史をつなぐためには錦富士が再入幕を決めるしかない。

 先代師匠で同郷の宮城野親方(元横綱・旭富士)からも「頼むぞ」と言われ、「荷が重い。今場所は眠れない」と苦笑する。だが錦富士といえば、昨年名古屋場所は幕尻17枚目で6勝ながら番付編成上のバランスから翌場所も奇跡の残留。22年名古屋場所では幕内初の不戦勝3回という珍事を経験して敢闘賞を受賞。実は角界きっての「持ってる男」でもある。

 近年は頸椎(けいつい)ヘルニア、左大腿部の蜂窩(ほうか)織炎などに苦しんだが、今場所前は「これで無理なら仕方ないと思えるくらいに(稽古を)やった」と充実の日々を送った。地元の十和田市では母校・三本木農高OBらによって勝つたびに花火が上がる。それも幕内限定。再び十和田の夜をにぎやかにする日を夢見てきた。

 04年夏場所では幕内に8人も名を連ねた青森県勢も現在は1人。それでも幕内在位142年の継続は2位の茨城(43年)を大きく引き離す突出した記録だ。「想像もつかない領域。僕ら世代でふがいなく終わらせられない」と錦富士。確実に再入幕を決めるにはまだ白星の上積みが必要。栄光の歴史は必ずつないでみせる。

 ◇錦富士 隆盛(にしきふじ・りゅうせい=本名・小笠原隆盛)1996年(平8)7月22日生まれ、青森県十和田市出身の29歳。9歳から相撲を始め、三本木農高から近大(中退)を経て伊勢ケ浜部屋に入門。16年秋場所で初土俵。20年秋場所で新十両、22年名古屋場所で新入幕。22年名古屋場所では幕内初となる3度の不戦勝を含む10勝で敢闘賞受賞。1メートル84、150キロ。得意は左四つ、寄り。趣味はサッカー観戦でインテル・ミラノのファン。家族は夫人と2男(双子)。

 ▽1883年 西南戦争の6年後で「文明開化」真っただ中の明治16年。まだ憲法も公布されず2年後に伊藤博文が初代首相に任命される。2月8日には東京で現在でも観測史上最高の46センチの積雪があり、同16日には日本で初めて天気図が作られた。12月には鹿鳴館が開館。大相撲は本所回向院で1月と5月に本場所が開催され、5月に青森出身の一ノ矢が新入幕。7勝2敗1休だった。

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