【世界陸上】藤井菜々子が日本新 競歩女子初の銅 急逝の恩師に届けた「次は金メダルへと歩いていきたい」

[ 2025年9月21日 04:45 ]

陸上 世界選手権東京大会 第8日 女子20キロ競歩 ( 2025年9月20日    国立競技場 )

女子20キロ競歩、3位に入り笑顔を見せる藤井(撮影・木村 揚輔)
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 女子20キロ競歩で、4大会連続出場の藤井菜々子(26=エディオン)が自身の記録を15秒更新する1時間26分18秒の日本新記録で銅メダルを獲得した。競歩の女子日本勢では、五輪、世界選手権を通じ初の表彰台となった。今大会の日本勢のメダルは、男子35キロ競歩3位の勝木隼人(34=自衛隊)に続き2個目。歴史的なメダルを先月22日に急逝したエディオン元監督の恩師、川越学さんにささげた。

 喪章を胸に藤井が両手を上げて歴史的なゴールを切った。日本女子が初めて競歩に出場した87年ローマ大会から38年。「本気で取り組んできたことが結果につながって、本当にうれしい」と快挙達成の歓喜に浸った。

 10キロ過ぎで先頭集団から離れたが、12キロ手前で再び追い付くと、人数が絞られていく中で3番手を守った。残り3キロで2度目の警告を受けて追い込まれ、最後の直線でトレスに猛追された。「直前まで気付かなかった。最後は気持ちで乗り切れた」と同タイムながらわずかに先着した。2月に出した自らの日本記録も15秒更新した。

 所属先のエディオン元監督で21年以降サポートを受けていた川越学さんが先月22日に脳卒中で63歳で死去。いつもスタート直前に緊張していると「大丈夫だから」と声をかけてくれた「そばにいると安心するお父さんのような存在」がこの日は不在。心細さを感じながらも「元気に歩く姿を絶対に見守ってくれると、レース中も喪章を確認しながら思いを背負って歩くことができた」と強い気持ちで歩き続け、亡き恩師にメダルを届けた。

 小3で陸上競技を始めた藤井は駅伝で都大路を目指して北九州市立高に入学。しかし、1年の冬に左すねを疲労骨折し、リハビリの一環で競歩を始めると、2、3年で高校総体5000メートルで連覇と才能を開花させた。20歳で初出場した19年の世界選手権で7位、22年には6位と着実にステップアップしていたが、24年パリ五輪は歩型違反が響いて32位に沈んだ。「パリみたいな思いはしたくない。メダルを獲りたい思いが強くなった」。左右のバランスが悪かったフォームを見直し、悔しさを自国開催の舞台にぶつけた。

 “競歩大国”とも言われる日本。男子は15年から今大会の勝木隼人まで世界選手権で10個、五輪で3個の計13個のメダルを獲得しているが、女子では自身の22年の6位が最高成績だった。「いつも男子がメダルを獲っていて、海外の選手に“何で女子は弱いの?”と言われて責任を感じていた。次の一歩を踏み出せたかな」。女子競歩界のエースが、歴史を動かした。「次は金メダルへと歩いていきたい」。さらなる高みへ、道のりは続いていく。

 ≪謙虚「自分ではまぐれだと」≫ゴールから約9時間後、藤井はセレモニーでメダルを手にすると「やっと実感湧いてきた」と感慨を込めた。レース後に届いた祝福の連絡は140件。「3桁も来たことなかったので衝撃。反響が凄い」と驚いていた。一躍“時の人”になるも「自分ではまぐれだと思っている」と謙虚な姿勢。「一発屋にならないように、メダルの常連になりたい」と安定した活躍を誓った。

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