元木咲良「本当に怖くて…」準決勝で涙の勝者 奇跡の大技さく裂で逆転決勝「神様は2回も助けてくれない」

[ 2024年8月10日 02:59 ]

パリ五輪第15日 レスリング ( 2024年8月9日    シャンドマルス・アリーナ )

<パリ五輪 レスリング>女子62キロ級準決勝、大逆転勝利を呼んだ元木咲良の大技(撮影・平嶋 理子)
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 女子62キロ級の元木咲良(22=育英大助手)が9日、準決勝でグレースヤコブ・ブレン(ノルウェー)を大逆転で下し、決勝進出を決めた。シドニー五輪のレスリング代表だった父が立てなかった五輪の表彰台にはたどり着いた。日本時間10日深夜に行われる決勝で金メダル獲得に挑む。 決勝トーナメント表

 涙の元木、呆然と座り込む欧州女王・ブレン。どちらが敗者か分からない試合終了後のマットの風景だった。

 前回対戦も1ポイント差で辛くも勝利した難敵。先にタックルを決められ2ポイント先行を許す展開。すぐさま2点を取り返して第1ピリオド終了。2―2のまま第2ピリオド1分50秒すぎにタックルから4ポイントを奪われる。チャレンジに失敗し、さらに1ポイント奪われ崖っ縁に立たされた。だが諦めなかった元木は相手のタックルを受けながら、起死回生の反り投げを決めた。そのまま大逆転のフォール勝ち。劇的な勝利に元木の目からは涙がこぼれ、ブレンは呆然と座り込んだ。ノルウェー陣営はチャレンジも判定は変わらず。大激闘に会場から大きな拍手が沸いた。

 試合後、声を震わせながら元木は「もう本当に…優勝するために、世界一になるために来たのに、ここで負けたらどうしようと思って…。全部はね返されて、本当にどうしようって…本当に怖くて…でも神様が助けてくれたのかなって思います。自分の中では本当に負けた内容だった。(決勝に向け)神様は2回も助けてくれないと思うので明日はしっかり自分の実力を発揮して、しっかり準備して臨みたいと思います」と語った。

 神様からもらったチャンス。10日深夜に行われる決勝では元木咲良の全てを出し切る。

 ◇元木 咲良(もとき・さくら)2002年(平14)2月20日生まれ、埼玉県出身の22歳。埼玉栄高、育英大を経て、今年4月から育英大助手。おむつが取れたころに父も指導する和光クラブで開始。中学校時代まで目立った成績は残せなかったが、高2だった18年の世界カデ選手権で優勝し、頭角を現す。22年の全日本選抜選手権では59キロ級で初の日本一。同年は世界ジュニア選手権を制し、世界選手権でも3位。その後に五輪階級の62キロ級に上げると、23年世界選手権で2位に入り、パリ五輪代表に内定した。家族は00年シドニー五輪男子グレコローマンスタイル63キロ級代表の康年さん、母、妹。

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