元木咲良が金メダル王手!大大大逆転勝ちで涙「神様が助けて…」起死回生の反り投げ→フォールで決勝進出

[ 2024年8月10日 02:30 ]

パリ五輪第15日 レスリング ( 2024年8月9日    シャンドマルス・アリーナ )

<パリ五輪 レスリング>女子62キロ級準決勝、決勝へ進む元木咲良は涙。相手のブレンは呆然(撮影・平嶋 理子)
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 女子62キロ級の元木咲良(22=育英大助手)が9日、準決勝でグレースヤコブ・ブレン(ノルウェー)を大逆転で下し、決勝進出を決めた。シドニー五輪のレスリング代表だった父が立てなかった五輪の表彰台にはたどり着いた。日本時間10日深夜に行われる決勝で金メダル獲得に挑む。

 衝撃のフォール勝ちで五輪秒殺デビューを飾った元木は、準々決勝も圧巻の終盤力で一気に畳みかける圧勝劇を見せここまで勝ち上がってきた。迎えた準決勝。世界選手権3位で欧州女王のブレンに大逆転勝利を決めた。

 涙の元木、呆然と座り込む欧州女王・ブレン。どちらが敗者か分からない試合終了後のマットの風景だった。前回対戦も1ポイント差で辛くも勝利した難敵。先にタックルを決められ2ポイント先行を許す展開。すぐさま2点を取り返して第1ピリオド終了。2―2のまま第2ピリオド1分50秒すぎにタックルから4ポイントを奪われる。チャレンジに失敗し、さらに1ポイント奪われ崖っ縁に立たされた。だが諦めなかった元木は相手のタックルを受けながら、起死回生の反り投げを決めた。そのまま大逆転のフォール勝ち。劇的な勝利に元木の目からは涙がこぼれ、ブレンは呆然と座り込んだ。ノルウェー陣営はチャレンジも判定は変わらず。大激闘に会場から大きな拍手が沸いた。

 試合後、声を震わせながら元木は「もう本当に…優勝するために、世界一になるために来たのに、ここで負けたらどうしようと思って…。全部はね返されて、本当にどうしようって…本当に怖くて、でも神様が助けてくれたのかなって思います」と素直な思いを吐露。10日の決勝に向けて「神様は2回も助けてくれないと思う。明日はしっかり自分の実力を発揮して、しっかり準備して臨みたいと思います」と涙を拭った。

 父・康年さんは00年シドニー五輪のグレコローマン63キロ級代表。父娘五輪出場を果たした元木の、親子悲願のメダル獲得への闘いは、ついに決勝までたどり着いた。大会前に「関わってくれる人、応援してくれる人のみんなの代表だと思って頑張る」と語っていた元木。今大会の女子レスリング勢は、尾崎と須崎が銅メダル、藤波が金、桜井も決勝進出を決め、元木も決勝進出を決めたため、ここまでの出場全5階級でメダル獲得を確定させた。パリでの闘いも、残すところあと1戦。父へ、支えてくれた全ての人たちへ、金メダルで恩返しする。

 ◇元木 咲良(もとき・さくら)2002年(平14)2月20日生まれ、埼玉県出身の22歳。埼玉栄高、育英大を経て、今年4月から育英大助手。おむつが取れたころに父も指導する和光クラブで開始。中学校時代まで目立った成績は残せなかったが、高2だった18年の世界カデ選手権で優勝し、頭角を現す。22年の全日本選抜選手権では59キロ級で初の日本一。同年は世界ジュニア選手権を制し、世界選手権でも3位。その後に五輪階級の62キロ級に上げると、23年世界選手権で2位に入り、パリ五輪代表に内定した。家族は00年シドニー五輪男子グレコローマンスタイル63キロ級代表の康年さん、母、妹。

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