なぜ「フラフープ」は戦後日本で爆発的ブームとなったのか【懐かしのスポーツ回顧録】
かつて人気だった懐かしいスポーツや遊びにフォーカスして紹介していく本企画。今回は、近年ではダイエット道具として密かに注目を集める「フラフープ」のお話です。
爆発的ブームは1958年。日本中で大流行!
フラフープは、腰に通して身体を前後あるいは左右に振って回転させて遊ぶシンプルなおもちゃ。1958年にアメリカで大流行していたフラフープが、同(昭和33)年10月に日本に上陸するやいなや、たちまち日本中を席巻。都内各デパートには早朝からフラフープを求める人々で長蛇の列ができたそうです。
販売価格は大人用が270円、子ども用は200円で、当時のラーメン一杯が40円だったというから、決して安い買い物ではないにもかかわらずの大ブーム。日産2万本のフラフープは、1ヶ月で80万本が売れたのだとか。
美容と健康によいとの宣伝文句から、老若男女にかかわらず、子どもたちは路上や広場で学校で、大人は職場で昼休みに腰をフリフリ、この単純で愉快なフラフープ遊びに興じました。
アッという間に日本中に広まったフラフープですが、ブームの終焉はあっけなくやってきます。発売からわずか1ヶ月後の11月、都内の15歳の少年がフラフープの使用によるとされる胃穿孔で重体となる事態が発生。
さらに横浜や神戸でフラフープ遊びをしていた子どもが車に轢かれる事故が起き、その後千葉県では少年3人がフラフープ中に腸捻転などの内臓障害を引き起こしました。
さらにさらに、遊戯中にフラフープのつなぎ目が外れて目を突く事故なども重なり、警察庁や厚生省が問題視。千葉県東金市の小学校がフラフープ禁止令を出したことが新聞で報道されると、全国の小学校でも同様の措置がとられて一気にブームは沈静化してしまいます。
各地で競技大会が開催され、フラフープを題材にした日活映画の公開やフラフープ・ソングまでもが発売されるほど日本中を熱狂(!?)させたフラフープムーブメントは、たった40日足らずで幕を閉じたのでした。
2000年代。海外セレブがダイエットに活用してブーム再燃!?
フラフープの世界的大流行からちょうど50年後の2008年、フラフープ再ブームの予感がアメリカからやってきます。
ビヨンセやアンジェリーナ・ジョリー、ケイト・モスといった海外セレブたちが、産後のウエストラインシェイプやトレーニングの一部にフラフープを取り入れた「フラフープ・ダイエット」を行ったのがそのキッカケです。
実は、フラフープ再燃のきざしは、2000年に入った頃からはじまっていました。アメリカのロックバンドのステージで、ダンサーがフープを回し、バンドメンバーがフープを観客に配って人気を博したのです。
その波はすぐさま日本にも到達し、都内ではフラフープ教室が開講され、2012年には日本初のフラフープとダンスを組み合わせたフープダンスの全国大会が開催されました。
50年前、ブーム終息のキッカケを作った千葉県東金市では、2010年にフラフープを使った新しい競技「EGフラフープバトル」を同市発の新スポーツとして発信し、毎年11月に世界選手権を開催しています。
フラフープが身体に悪いという科学的根拠のないウワサを信じ、当時のブームを終わらせたことへの反省を込めて生み出した競技なのだとか。
ちなみに「EG」とはイーストゴールド、つまり東金の英訳。また、同市中央公園にはフラフープの鎮魂と再燃を願った「フープ塚」が建てられています。
フラフープはダイエット&健康ツールとして今も健在
フラフープをキーワードにネット検索すると、約2,230,000件がヒットします。そのほとんどが「ダイエット」「健康」「体幹を鍛える」「ウエストのくびれをつくる」など、シェイプアップと健康のためのツールとして活用する情報です。
現代のフラフープは、リング状のシンプルな形状こそ昔と変わりませんが、いくつかのパーツに分かれた組み立て式になっていたり、トレーニング効果を高めるために重さが調整できたり、LED搭載で光るフラフープだったりと、大人のためのダイエット&健康ツールとして進化していました。
もちろん、昔遊んだような子ども用のフラフープが消滅してしまったわけではないので、大人用と子ども用のフラフープを用意すれば、親子で楽しむこともできます。
(あ、今の子どもたちの親世代の方々には「昔遊んだ」というフレーズはあてはまりませんね!)子どもと一緒にぜひ、フラフープに挑戦してみましょう!
〈参考サイト〉
・毎日新聞社/昭和毎日「フラフープ大流行」
http://showa.mainichi.jp/news/1958/10/post-4113.html
・フープ東京
hooptokyo
・日本フープダンス協会
http://japan-hoopdance.com/index.html
・ 東金市観光協会
https://www.toganekanko.jp/
<Text:アート・サプライ>
- 戦後日本で爆発的ブームを巻き起こした「フラフープ」のお話│懐かしのスポーツ回顧録
- 「ゴルフは難しい」と感じるたった2つの理由、これさえ分かれば“90切り”も夢じゃないかも
- やっちゃってない?ジムで嫌われるNG行為「汗をまき散らす」
2023年10月18日のニュース
-
【ラグビー】日本代表ナイカブラ、母校・摂南大を訪れ決意新た「次の代表にも名前が残るように」
[ 2023年10月18日 19:50 ] ラグビー
-
元大関・小錦が大島部屋で稽古見学 関取目指す力士たちを熱心に指導「一人一人目的を持って」
[ 2023年10月18日 18:07 ] 相撲
-
石川遼 ZOZOチャンピオンシップに3年ぶり出場「日本選手が優勝争いする可能性もなくはない」
[ 2023年10月18日 17:56 ] ゴルフ
-
車いすテニス界のホープ小田凱人の初戦に立ち見客が殺到「衝撃を与えられたら」ジャパンOP
[ 2023年10月18日 17:42 ] テニス
-
日本最終戦に臨むイ・ボミ「うまくいくために何をしたらいいか考える」19日開幕マスターズGCレディース
[ 2023年10月18日 17:34 ] ゴルフ
-
上田桃子はイ・ボミと同組「人間の底力みないたものが見れたら」19日開幕マスターズGCレディース
[ 2023年10月18日 17:12 ] ゴルフ
-
川崎春花は上昇気流に乗って大会連覇に挑む「自信を持って打てている」
[ 2023年10月18日 16:43 ] ゴルフ
-
先週4勝目挙げた桜井心那5勝目に意欲「あと1回は勝ちたい」19日開幕マスターズGCレディース
[ 2023年10月18日 16:35 ] ゴルフ
-
松生理乃が強化選手Aに追加 GPスケートカナダ追加派遣受け
[ 2023年10月18日 15:34 ] フィギュアスケート
-
原英莉花が21位発進 馬場咲希は61位 米女子ゴルフ2次予選会初日
[ 2023年10月18日 13:55 ] ゴルフ
-
「ハイボールは太らない」は嘘?焼酎とどっちが太るのか[管理栄養士監修]
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
脱・ハードゲイナー!健康的に太りたい人に捧げる「太る食事方法」
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
逆立ちすると「胃下垂」は治る?トレーナーに聞いてみた
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
膝ストレッチのやり方。膝の痛みは「ココ」を伸ばす!
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
なぜ「フラフープ」は戦後日本で爆発的ブームとなったのか【懐かしのスポーツ回顧録】
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
スクワット、毎日やらない方がいいって本当?[トレーナーが回答]
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
ひまわりの種、実は栄養豊富で高タンパク!おつまみにも【食べ方指南つき】
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
タンパク質だけじゃない!「筋肉を増やす」ために何を食べればいい?
[ 2023年10月18日 09:00 ] MELOS
-
イ・ボミ 最強相棒と有終の美飾る 4年ぶり清水キャディーと黄金タッグ
[ 2023年10月18日 04:45 ] ゴルフ
-
IOCバッハ会長 任期延長を否定せず「私にはいつも五輪運動への情熱がある」
[ 2023年10月18日 04:38 ] 五輪
-
“最後の国体”閉幕 来年から「国スポ」に
[ 2023年10月18日 04:30 ] スポーツ一般
-
ラグビー日本代表次期HC マクラウド氏が最終候補に浮上 W杯4強入りのNZ代表コーチ
[ 2023年10月18日 03:00 ] ラグビー