女子48キロ級・角田 パリ五輪へ前進の隙なしV3 女子史上3人目!無失点オール一本で決めた

[ 2023年5月9日 04:44 ]

柔道世界選手権第1日 ( 2023年5月7日    カタール・ドーハ )

女子48㌔級の表彰式で金メダルを手に笑顔の角田(AP)
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 男女2階級で開幕し、女子48キロ級で角田夏実(30=SBC湘南美容クリニック)が5試合オール一本勝ちで3年連続3度目の優勝を果たした。日本女子の3連覇は6連覇の田村亮子、4連覇の阿武教子に次ぐ3人目の快挙。銅メダルにとどまったライバルの古賀若菜(21=山梨学院大)に水をあけ、来年のパリ五輪代表入りを大きく引き寄せた。男子60キロ級では東京五輪金メダルの高藤直寿(29=パーク24)が5位でメダルを逃した。

 どんな難敵も「勝利の方程式」にはめれば、出てくる解は一本勝ちだった。巴投げと関節技。世界を震撼(しんかん)させる勝ちパターンを持つ角田が、全5試合をいずれかの決まり手で、圧巻の無失点オール一本勝ち優勝。「ホッとしている。素直にうれしい」と柔和な笑みを浮かべて喜んだ。

 世界ランキング1位のブクリと対戦した決勝では、開始直後に2度寝技を逃げられたが、中盤に巴投げで相手の体を完璧にコントロールし、背中を畳に叩きつけた。高校時代に父・佳之さんから初めて習った技だが、試行錯誤を重ねて必殺技に昇華。「毎回研究はされている。その中でどう投げるかを私自身、研究してきた」と胸を張ってみせた。

 いずれも五輪女王でもある田村亮子、阿武教子というビッグネームに続く3連覇。しかも3大会連続で5試合オール一本勝ちという偉業だが、いずれの年も同階級に2選手が送り込まれる「2人代表」の扱いだった。「想像はしていた。ケガも多いし試合の安定性もない」と卑下していたが、今大会は5試合で指導が計2回と危なげなし。女子日本代表の増地克之監督も「パリ五輪代表に大きく前進した。3連覇は非常に大きな要素になる。重圧の中で力を出し切り、ライバルのフランス勢に勝ったことが評価できる」と称えた。

 今年4月に所属名が了徳寺大職からSBC湘南美容クリニックに変更。「社割はあるんですかね?チラッと期待している」と美容への関心も高い30歳の最大の目標は、もちろんパリ五輪。「どこに落とし穴があるか分からない。気を引き締めて、一歩ずつパリに向けてまだまだ成長していきたい」と、3連覇女王にしては控えめに視線を次に向けた。

 ◇角田 夏実(つのだ・なつみ)1992年(平4)8月6日生まれ、千葉県八千代市出身の30歳。小2で柔道を開始。八千代高―東京学芸大。大学時代にサンボや柔術にも取り組み、関節技を習得して台頭。16年の講道館杯では52キロ級で初優勝し、翌17年の世界選手権で銀メダル。19年途中に48キロ級に転向し、東京五輪は補欠。世界選手権は21年から3連覇。1メートル61。左組み。得意技は巴投げ、寝技。

 ▽柔道のパリ五輪代表選考方法 代表監督とコーチが国内ポイントシステムや国内外の大会結果および内容から、1番手の選手が2番手以下の選手よりも明らかに優位になったと判断した場合に強化委員会にはかり、承認されれば代表に内定する。全柔連が今年3月に強化システムに関する規定を改正。今大会後の6月にも内定者が出る見通し。

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