羽生結弦さん「自分の幸せを削ってでも、ずっとずっと羽生結弦として全て背負って進んでいく」

[ 2023年3月13日 04:45 ]

<羽生結弦さん「notte stellata」>氷を飛び散らせ万感の演技する羽生結弦さん(撮影・小海途 良幹)
Photo By スポニチ

 フィギュアスケート男子で五輪連覇を達成し、プロとして活動する羽生結弦さん(28)が12日、宮城・セキスイハイムスーパーアリーナで「羽生結弦 notte stellata」千秋楽公演を行った。自身も被災した東日本大震災から12年と1日が過ぎ、「ノッテ・ステラータ」や「春よ、来い」に希望を乗せて舞った。グランドフィナーレではマイクを握り、今後もスケートに人生の全てを注ぐ覚悟を語った。

 こうやって実際に12年と1日という月日が過ぎて、だんだんだんだん僕も毎年、ほぼ毎日のように3月11日という日を思い返していますけど、だんだん記憶は薄れていってしまうものですね。傷も、つらさも、悲しみも、なくなってしまったものの多さも、少なさも。全てがだんだんなくなっていってしまって。なんか穏やかな日々にだんだんなんか慣れていってしまって、そんなことに罪悪感を覚えるような日々もあります。

 でも、そんなことあるんですよ、本当に。なんか羽生結弦っていう存在として、今まで生きてきて、僕はスケートをやることによって世界を救えると思わないですし、スケートで何か世界が変わるなんて、そんな大それたことはないと思います。ただ、僕がこうやってこの12年間を生きて、この一番つらかったであろうこの場所にリンクを張って、こうやって皆さんに希望を届けることができて、幸せであると同時に、これからも、こんなちっちゃな体ですけど、いろんなことを背負って毎日毎日、スケートのためだけに日々を過ごしたいと思っています。

 でも、今日っていう日が終わってしまったら、ノッテ・ステラータは、とりあえず2023年のノッテ・ステラータはもうなくなってしまって、明日はいつもと変わらない、穏やかでくだらない日々が続くと思います。でも、その中でも僕はスケートをめちゃくちゃ頑張って、また、なんか羽生結弦のスケートを見たくなったな、とか。こうやってノッテ・ステラータの配信があったり、いろんな中でまた見たいな、あのスケートに希望をもらったな、とか、そういうことを思っていただけるように。そういうことを思っていただけた時に、またスケートを見ていただけるように。精いっぱい自分の幸せを削ってでも、ずっとずっと羽生結弦として全て背負って進んでいくんで、どうか応援してください。

 僕はなんか、本当にこうやって皆さんに自分のスケートを見ていただいて、言葉じゃなくて、自分のスケートの中から何かを感じ取ってくださって、国境を超えて何かに希望を与えたり、悲しさを与えたり、慈しみだったり。そういったものを与えられる存在であれば、それだけで十分幸せです。だからこれからも、スケートのための選択をずっと続けていきます。どうか信じてください。これからも頑張っていきます。応援よろしくお願いします。ありがとうございました。

続きを表示

スポーツの2023年3月13日のニュース