アメフト関西外大 国内初の女性監督が挑む入れ替え戦 沢木監督「先制することはマストで」

[ 2022年12月16日 08:59 ]

佛教大との入替戦を控え、気合いのポーズを見せる関西外大あメフト部の沢木由衣監督(撮影・長嶋 久樹)
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 関西学生アメリカンフットボールリーグ4部の関西外大は17日、2019年度以来となる3部昇格をかけ、佛教大と対戦する。チームを率いるのは就任3年目の沢木由衣監督。国内アメフトチームで史上初の女性監督は、どんな思いを抱き、大一番に臨むのか。「スポニチチャンネル」の動画とともに、決戦を控えた指導者とチームに迫った。 関西外大アメフト部の動画はこちら

 選手の一挙手一投足に注ぐ視線が熱い。入れ替え戦を1週間後に控えた関西外大グラウンド。高まる緊張感を自覚しながら、沢木監督は身長1メートル48の自身より、頭ひとつ以上大きな部員の最終調整を見守っていた。

 「非常に前向きな雰囲気の中で、選手は練習しています。これから難しいこと、新しいことをやるのは難しいので、小さいミスをなくして、当たり前のプレーを詰めよう、と思っています」

 コロナ禍が今も影を落とす2022年シーズン。Bブロックでリーグ3連勝とはいえ2試合は不戦勝で、京都府立大を17―6と下した一戦、そしてAブロック1位の大院大に14―7と逆転勝ちした戦いが数少ない「手応え」となった。

 「今年は実戦練習が少ない中で、(京都府立大に)勝てたのは良かった。ただ、後半の失点、パスの精度など課題も見えました。(大院大戦は)入れ替え戦で戦う佛教大を想定しての戦いで、前の試合の反省を生かしながら、勝って自信をつけるという狙いがあり、その部分はできたかな、と」

 関西外大のOGで、現役時代はアメフト部の主務として活躍した沢木さんに監督の声が掛かったのは2020年2月。少し迷った後、ある思いが一人の女性の背中を押した。

 「(監督就任の)お話をもらった時は、まさか自分が…という感じだったんですけど、本業で人材紹介の仕事をしていて、第2新卒のお客様と向き合うことが多かったんですね。大学時代、深く考えずに就職活動したり、打ち込んだものがなく、何となく社会に出た結果、仕事が合わず、すぐに辞めてしまったり、疲れてしまったりするような人を目にした時、近い将来、彼ら(アメフト部員)も、そうなってしまうんじゃないか、と考えて。だったらアメフトでの活動が社会に出た時に意味づけられるようにできるのは、自分しかいなんじゃないかと思って、引き受けることにしました」

 学生の未来を思い、母校の再建を誓った指導者生活。普段、女性を意識することはなくても、競技未経験でチームを率いる難しさは感じている。

 「性別の意識はないですけど、プレーヤーの経験があるなしは、すごく大きいな、と思いますね。技術を伝えることができないことに加えて、いろんなスキルを習得する中での、こらえるべきポイントとか、うまくいかない時の気持ちなんかは、なかなか分かってあげられないかなあ、と」

 もちろん、ないものをねだっても仕方がない。彼女だけの経験、スタンスを生かし、「沢木スタイル」を築き上げた。

 「(指導する中で)最優先するのは、学生主体であること、ですね。私も毎日指導できるわけではないので、学生が主体で責任を持って取り組むようにと考えた時に、彼らの思いをまず受け止めて、どうやったら目標を達成できるのか、ということを伴走していくようなイメージでコミュニケーションを取っています」

 監督、Xリーグチーム「TRIAXIS J-STARS」のチーフマネージャー、そして会社員としての本業。「3足のワラジ」で超多忙だった3年間に、一つの答えが出る瞬間が迫っている。17日の入れ替え戦(MKタクシーフィールド)。3部復帰へ、絶対に負けられないゲームがそこにある。

 「まず、先制することはマストでやりたい。昨年、佛教大さんとは3回試合をして、いずれも力及ばず負けました。特に秋は、佛教大さんに負けて昇格の望みが消えたという意味で、(現在の)4回生のマインドが変わった対戦相手といえます。仮に試合で劣勢になっても、ポジティブな意識を持った選手がどんどん出てきて、最後まで戦えたらと考えています」

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