二所ノ関親方 秋場所総括 11勝若隆景が次期大関最右翼 琴ノ若も期待

[ 2022年9月27日 04:30 ]

秋場所6日目、逸ノ城(左)を寄り切りでを下す若隆景
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 大相撲秋場所を年6場所制で最高齢となる37歳10カ月で制した玉鷲(片男波部屋)が26日にオンラインで会見し、改めて激闘を振り返った。31年ぶりとなる平幕の2場所連続優勝など上位陣が不振のなか、次期大関を目指す若手も台頭。本紙評論家の二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)は秋場所を総括し、11勝した関脇・若隆景(27=荒汐部屋)と勝ち越した琴ノ若(24=佐渡ケ嶽部屋)に期待を寄せた。

 秋場所は37歳の玉鷲を筆頭に、32歳の高安、30歳の北勝富士らベテランの活躍が目立ちました。立派という言葉しか思い浮かびませんが、次期大関候補の呼び声も高い若手の成長も感じられました。

 最右翼は若隆景でしょう。初日から3連敗したあとの巻き返しは素晴らしいものがありました。強調すべきは安定感です。代名詞となった左右のおっつけに加えて、まわしにこだわる相撲でも結果を出し、相撲に幅も出てきました。6日目の逸ノ城戦。長い相撲になりましたが、しっかり絞り込んで相手十分にさせない嫌らしい相撲でした。大きな相手を寄せ付けず、成長したなと感じました。

 常に相手が嫌がる相撲を徹底していますから、「もうかなわない」というイメージを植え付けることができています。年6場所の戦いでは重要な要素で、若手も見習うべきです。大関を狙うには一番一番が大事になります。初日から3連敗したように、場所の入り方が今後の課題です。私もそうでしたが、いかにして場所に臨んでいくか、調整は難しいものがあります。そういう意味でも勉強になったことでしょう。11番勝って勉強できる、こんな有意義な場所はないと思います。

 初日に若隆景を一気の攻めで破った琴ノ若も今後が楽しみです。はまった時の強さは魅力十分。体の預け方やつぶし方が上手で、相手の力を殺せる体の柔らかさは持って生まれた武器といえます。その一方で、あっさりと負けることが1場所に何番もあるのが気になります。上位になればなるほど相手は研究してきます。負けるときも粘り強さが出てくれば、若隆景に次ぐ存在になることでしょう。

 3大関にも少し触れたいと思います。2桁勝った貴景勝とは対照的に正代、御嶽海は私から言わせれば無気力というか「気」が出ていません。正代は場所後の昇進披露パーティーが「お祝い」というより「激励会」になりそうですが、後援者らの顔を見て「こんなに応援していただけるんだ」と意気に感じて、奮起してほしいと思います。(元横綱・稀勢の里)

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