千怜 史上3人目のツアー初優勝から2週連続V、最年少快挙「信じ難い状況」

[ 2022年8月22日 05:30 ]

女子ゴルフツアー CATレディース最終日 ( 2022年8月21日    神奈川県 大箱根CC=6638ヤード、パー72 )

優勝副賞の重機に乗り笑顔を見せる岩井千(撮影・会津 智海)
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 前週のNEC軽井沢72でツアー初優勝した岩井千怜(ちさと、20=Honda)が2バーディー、ボギーなしの70で回り、通算13アンダーで逃げ切り。ツアー史上3人目となる初優勝からの2週連続優勝を、最年少で飾った。首位に7打差の13位から出た山下美夢有(みゆう、21=加賀電子)がパー72の大会新記録となる64の猛追を見せ、通算12アンダーの2位に入った。

 これを外せば山下とのプレーオフ。重圧の中、1.5メートル残ったウイニングパットをカップの右縁から沈めた岩井千は涙の初優勝とはまた違う、はじけるような笑顔で何度も右手を突き上げた。

 「普段会えない2人のために優勝したいと思ってました。生で見せられて良かった」

 前夜、母方の祖母、伯父と食事をした。80歳になった祖母の喜ぶ顔を見て改めて確認した思い。「誰かのため」を信条にする岩井千らしい優勝スピーチだった。

 笑顔とは裏腹に、苦しい一日だった。13番で賞金ランク首位を走る山下が首位に並んだのを確認。スタート前から続いていたドキドキは胸に手を当てなくても感じられるほど大きくなった。重圧から体は思うように動かなくなっていたが、16番のフェアウエーでいつものようにドラマ「ドラゴン桜」のオープニングテーマを口ずさむと、スーッと緊張感がほぐれた。

 「打ちたいボールが打てました」

 続く17番では右からの向かい風を計算に入れた6Iの高い球で第1打をピン右手前5メートルへ運んで頭一つ抜け出すバーディー。前週同じ最終18番で2メートルのパーパットを外した手の震えの異変も、この日はなかった。

 実力者の追い上げを受けながらボギーなしと、最後まで付け入る隙を与えなかった守りも秀逸だった。「攻めつつも大崩れしないように」と自らに課した難ミッションを見事クリアした。

 ツアー初優勝の前週は、同日に米国で馬場咲希が37年ぶりの全米女子アマ選手権を制覇。「私の優勝が薄れちゃった」と口にした。17歳に刺激を受けた20歳は「馬場さんも世界で活躍されてたので、私もまた頑張ろうという気持ちでいた」と意気込んだ通り、2週連続で優勝カップを掲げた。

 再び主役の座を取り戻した新星は、心と体のコントロール法に加え、勝負服は赤と、勝利を重ねながらパターンを確立しつつある。「今年2勝するとは思ってなかったので信じ難い状況」という言葉が謙遜に聞こえるほど、今の岩井千は充実している。

 《大幅更新の20歳47日》ツアー初優勝から2週連続Vは岩井千が史上3人目。20歳47日での達成は最年少となった。過去には西田智恵子が1990年に24歳32日(宝インビテーショナル→富士通レディース)で、表純子が2005年に31歳165日(シャトレーゼクイーンズカップ→スタンレー・レディース)で達成。また、3週連続優勝は全美貞が07年、鈴木愛が19年に飾っているが、初優勝からの達成者はいない。

 《姉・明愛33位「自分も」》岩井ツインズの姉・明愛(あきえ)は前週に続き、千怜の優勝を18番グリーンで見届けた。ハイタッチで祝福。「自分のプレーに集中していたけど、終わってからは“全集中”が千怜にいった。率直に、凄くうれしい」と妹の勝利を喜んだ。自身は72で回り、通算2アンダーの33位。「自分も負けていられないという気持ちが出てくると思う。シード権を第一に目指して、チャンスが来たら勝ちたい」と意気込みを語った。

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