阿部詩に“強行軍”を強いた選考方法 強化委員長「公平性期すには致し方ない」柔道全日本選抜体重別選手権

[ 2022年4月2日 20:43 ]

柔道全日本選抜体重別選手権第1日 ( 2022年4月2日    福岡国際センター )

<全日本選抜柔道体重別選手権大会>女子52キロ級1回戦、果敢に攻める阿部詩(右)
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 女子7階級が行われ、今月17日の皇后杯全日本女子選手権(横浜武道館)が最終選考会となる78キロ超級を除く6階級の世界選手権(10月、ウズベキスタン・タシケント)代表7人が決まった。今大会を制した48キロ級の渡名喜風南(パーク24)、78キロ級の浜田尚里(自衛隊)の五輪代表2人が順当に選出された一方、57キロ級東京五輪銅メダルの芳田司(コマツ)は準優勝にとどまり、現時点での代表入りを逃した。

 注目の52キロ級は、昨秋に両肩を手術していたことを明かした東京五輪金メダルの阿部詩(日体大)が選出された。大会は20歳の新鋭、白石響(環太平洋大)が制したが、IJFワールドツアーは未経験。代表選考は今大会の結果だけではなく、選考会対象となっている2月の国際大会の結果や過去の実績も加味して総合的に判断されるため、阿部が順当に選出された。

 強化委員会後に記者会見に臨んだ女子日本代表の増地克之監督は「今大会での棄権は残念だが、一番金メダルに近いということで選出した」と説明。阿部を含めて各選手には、「選考大会に1試合も出ないということは、自力での代表権獲得は難しい」と伝えていたそうで、本格的な稽古再開からわずか2週間で出場した阿部に対しては「(出場を)迷っていたと思うが、世界選手権へ大事な大会と認識していたと思う」と話した。

 一方、阿部ほどのトップ選手に強行軍を強いた点は、今後の選手選考に課題を残す結果となった。1回戦は本来のパフォーマンスとは全くかけ離れたもので、万全とは言えない両肩を再び痛めるリスクもあった。そうした懸念について金野潤強化委員長は「阿部の実績は素晴らしく、金メダルは大きなアドバンテージを持っている」と評価しつつ、「追い掛ける選手も満身創痍(そうい)だし、チャンスがなくなる。選考会で整合性、公平性を期すためには、致し方ないと思う」と話し、理解を求めた。

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