照ノ富士ヒヤリ 宇良かばってあわや勇み足「優しさが出ちゃう」

[ 2022年3月16日 05:30 ]

大相撲春場所3日目 ( 2022年3月15日    エディオンアリーナ大阪 )

宇良(右)を押し出す照ノ富士
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 2日目にして土がついた横綱・照ノ富士は行司軍配差し違えで宇良を押し出しで退け、連敗を免れた。新大関の御嶽海は好調の大栄翔を突き落としで下し3連勝。カド番の大関・正代は逸ノ城に寄り切られ3連敗、同じく貴景勝も新小結・豊昇龍のすくい投げに屈し1勝2敗と黒星先行となった。無傷の3連勝は御嶽海、関脇・若隆景、平幕の琴ノ若、高安、豊山、錦木。

 常に淡々と語る横綱にしては興味深い発言だった。土俵際でもつれた宇良戦。内容を問われると「余裕はあったので、ちょっと優しさが出ちゃうというか…」と珍しく心境を吐露した。

 一歩間違えれば勇み足の危ない相撲だった。照ノ富士が右のかち上げから一気に前に出ると、宇良は土俵際で右に回り込んで肩透かしを狙った。照ノ富士はそのまま押し出したが、同時に自分の足が大きく踏み出した。式守伊之助の軍配は宇良。物言いがつき宇良の右かかとが一瞬早く出たため差し違えで勝ち名乗りを受けた。横綱は「(宇良の)上に倒れてもいい状態だったんですけど…」と説明。膝のケガなどで序二段まで下がった境遇が同じ相手をかばった結果だった。

 先場所の終盤に右のかかとを痛めた。場所後にはコロナ感染で10日間は体を動かせず、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は場所前に「私の考えでは1日休んだら(調整は)3日遅れると考えている。30日は遅れている。場所中の稽古でどこまで回復するか」と不安を口にしていた。予感は的中し、前日は大栄翔に敗れ2日目にして土がついた。横綱昇進後、序盤で黒星を喫したのは過去に1度。連敗となれば、賜杯奪還にも黄信号が点灯する。負けられない重圧の中、踏みとどまった。

 足元に不安を抱えながらも前に出る姿勢は貫いた。ケガに苦しんだ過去があるだけに逆境を克服するすべは心得ている。「その一日に集中しているから、済んだことなので考えていない。明日からも落ち着いてやっていきたい」。波乱の嵐が吹き荒れる大阪春の陣。屋台骨として崩れるわけにはいかない。

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