IPCパーソンズ会長 パラ開会式で平和の叫び「戦争と憎しみの時代ではない!」「ピース!!」

[ 2022年3月4日 22:20 ]

開会式で平和を強く訴えたIPCパーソンズ会長(ロイター)

 国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドルー・パーソンズ会長が4日、北京パラリンピック開会式で世界平和を力強く訴えた。

 
 冒頭のあいさつを終えたパーソンズ会長は「今夜はまず平和のメッセージから始めなければなりません」と厳しい顔つきで宣言した。

 「私は今、世界で起こっていることに強い衝撃を受けています。21世紀は対話と外交の時代のはずです。戦争と憎しみの時代ではありません!」と語気を強めて訴えるとスタジアムには大きな拍手の音が鳴り響いた。続いて「IPCではよりよい、皆が共生できる世界、差別や憎しみ、無知とは無縁の紛争のない世界を目指しています。ここ北京に集ったパラアスリートたちは互いに競い合います。戦うのではありません。パラリンピアンたちは知っています。対戦相手は敵である必要がないことを。ともに歩めばさらにより多くのことを達成できることを。今夜、パラリンピックムーブメントは世界各国の当局者に呼び掛けます。アスリートたち同様、一つになり平和、理解、共生を促してください。世界はともに生きる場であるべきです。分断されてはなりません」と力強く語った。そしてあいさつの最後には両拳を力強く握りしめ「ピース!!」と叫び、再びスタジアムは大きな拍手に包まれた。

 IPCは3日、ウクライナに侵攻したロシアと支援したベラルーシの選手団に対し、北京冬季パラリンピック参加を認めないと発表。国名などを使わない個人資格の「中立選手」として出場を認めるとした2日の決定を1日で撤回。決定を受けて複数のチームや選手が対戦拒否やボイコットの意向を示したため、開会式(日本時間4日午後9時)前日に方針を一転させていた。IPCは当初、開幕が迫る直前での除外には「法的問題」があるとしていた。だが、国際オリンピック委員会(IOC)が各国際競技団体(IF)にロシアとベラルーシの国際大会からの除外を勧告し、大多数のIFが従っている状況だけに多くの国が強く反発していた。「事態を甘く見ていたのでは」と問われたパーソンズ会長は「過小評価していたとは思わない」と否定したが、「(前日から)状況が大きく変化した。ウクライナで爆弾が爆発するたび、より多くの怒りと嫌悪が生まれた」と想定外の展開だったことを認めていた。
 

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