鈴木孝幸2大会ぶり銅メダル!競泳チーム34歳主将が勢いつけた パラ五輪男子50メートル平泳ぎ

[ 2021年8月26日 05:30 ]

東京パラリンピック第2日 男子50メートル平泳ぎ(運動機能障害SB3) ( 2021年8月25日    東京アクアティクスセンター )

<パラリンピック競泳 男子50メートル平泳ぎ決勝(運動機能障害SB3)>表彰式でIOCのバッハ会長(左)から銅メダルを受け取る鈴木(撮影・坂田 高浩)
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 タッチしたスタート台に赤いランプが点灯したのを見て、メダルを確信した。ベテランの鈴木孝幸(34=ゴールドウイン)が男子50メートル平泳ぎで、12年ロンドン以来2大会ぶりにメダルを獲得。「表彰台に戻れたのでよかった」。プレゼンターを務めた国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が差し出すトレーから銅メダルを手にし、笑顔をのぞかせた。

 午前の予選でスタート音が鳴るタイミングの傾向を把握。好スタートを切ったものの、世界新記録で優勝したジダーノフ(RPC)に中盤以降は突き放された。それでも「何位か分からないけど最後まで諦めずに泳いだ」。メダルゼロに終わった16年リオデジャネイロ大会後は引退も考えたという34歳は、執念で前世界記録保持者モレッリ(イタリア)を0秒1差でかわした。

 リオ後は右腕の肘から先と両脚がない体で本格的に筋力トレーニングに励み、体幹部分を重点的に強化。コロナによる自粛期間中も「インドア派なので苦ではなかった」とチューブなどを使って体の側部を鍛えた。理想のアスリートを問われると「ロナウドです。でも、サッカー選手なので。最終目的地は(五輪自由形金メダリストの)マナドゥです」と口にするほど復活の手応えをつかんでいた。

 今大会は自由形で3つの金メダルが期待されるほど好調。まずは08年北京大会で金メダルを獲得した種目で、競泳チームの主将自ら範を示した。「山田美幸ちゃんも(銀メダルを)獲ってくれたし、4位の山口もいいレースをしてくれたので、流れを止めたくないと思った。明日以降もチーム全体がいいタイムを出せたら」。5大会連続出場で東京パラを引っ張る覚悟だ。(中出 健太郎)

 ◇鈴木 孝幸(すずき・たかゆき)1987年(昭62)1月23日生まれ、静岡県出身の34歳。早大―ゴールドウイン所属。先天性四肢欠損。小学校から水泳を習い始め、高校から本格的に競技をスタート。高3で17歳だった04年アテネ大会でパラ初出場を果たし、200メートルメドレーリレーで銀メダル。08年北京、12年ロンドン大会でもメダルを獲得し、今回で5大会連続出場。英国を拠点にトレーニングしている。

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