パラ柔道・広瀬悠&順子 金へ夫婦“一本”道 リオ銅の妻を3大会代表の夫がサポート

[ 2021年8月17日 05:30 ]

コロナ禍でも2人で練習する広瀬夫妻(本人提供)
Photo By 提供写真

 17日で開幕まで1週間を迎えた東京パラリンピックの柔道(視覚障がい)で広瀬悠(はるか、42)、順子(30=ともにSMBC日興証券)の夫妻が2大会連続で出場する。28日に行われる女子57キロ級で前回16年リオデジャネイロ大会銅メダルだった順子は、翌29日の男子90キロ級代表でコーチでもある夫のサポートを受け、二人三脚で金メダルに挑む。

 広瀬夫妻として迎える2度目のパラリンピック。前回、銅メダルだった妻の順子は「ずっと金メダルを目指して5年やってきた。力を出し切って悔いのない試合をすればチャンスはある」と訴える。

 コロナ禍による開催延期があった中、夫婦だからこそ力を伸ばすことができた。夫の悠は「1人ならできない練習が2人だとできた。それが(夫婦の)一番のメリット。デメリットは練習に行かなかったらバレること」と苦笑いしたが、ともに過ごす時間は増えた。

 14年9月の米国遠征が縁で交際。遠距離交際を経て15年12月に結婚した。オフは別々に過ごすことが多かったが、コロナ禍を機に買い物も一緒。道場が使えなかった期間は週5回はジムに通った。バーベルを腰まで引き上げるデッドリフトで悠は120キロが180キロ、順子は70キロから100キロと最大値がアップ。組んだ状態で始まる競技だけにパワーは重要だ。順子は「女子との乱取りで力負けはほぼなくなった。防御が強くなって投げられる回数が減った」と強調する。

 不安もある。順子は約1年半ぶりの実戦となった5月のグランプリ・バクー大会で2戦2敗。「試合勘をつかめずに技をかけられなくて指導で負けて」と漏らす。19年12月から実戦がない悠は「応援してくれる人はたくさんいる。一試合でも多く見せたい」と訴えるが、最大106キロから減量で苦戦。それでも諦めない。「2人で頑張れるのが夫婦の凄くいいところ」と順子は笑う。5年間の成果を東京で必ず発揮する。

 ◇広瀬 悠(ひろせ・はるか)1979年(昭54)7月17日生まれ、愛媛県出身の42歳。小学2年から柔道を始め、宇和島東高時代に全国高校総体に出場。高2で緑内障を発症して視力が低下。04年から視覚障がい柔道を始め、パラリンピックは08年北京が100キロ級5位、16年リオが90キロ級9位。

 ◇広瀬 順子(ひろせ・じゅんこ)1990年(平2)10月12日生まれ、山口県出身の30歳。少女漫画「あわせて1本!」の影響で小学5年から柔道を始め、西京高時代に全国高校総体に出場。花園大進学後に膠原(こうげん)病を発症。12年から視覚障がい柔道に転向。

続きを表示

2021年8月17日のニュース