川淵三郎氏、有観客は条件付きで「可能」 森会長の女性蔑視発言「日本を変えるきっかけに」

[ 2021年2月11日 17:32 ]

自宅前で報道陣の質問に答える川淵三郎氏(撮影・河野 光希)
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 森氏の後任に決まった組織委評議員会議長を務める川淵三郎氏(84)が11日、千葉市内で報道陣に対応した。

 森会長とは1時間、会談したことを明かし「前向きにならざるを得ない。僕が引き受ける引き受けないというより、外堀埋められていた感じがあった。森さんの意向に反して勘弁してくれっていうのは、とても言えない状況だったね」と振り返った。「僕としては9月までだから、短い時間の間にしっかり自分としてはベストを尽くせばいいかなと思う」と述べた。

 東京五輪は無観客では意味がないという立場だが、そのスタンスは変わらないことを強調。「Jリーグもプロ野球もお客さんを入れる。その流れを見ながら、今までと同じように問題なかったら、なんで無観客でやらなくちゃならないのって。日本人だけしか入れないのはおかしいっていうのは、それは開催国だから。日本の指示に従った前提で観光客を呼ぶっていうのは、(ルール作りが)きっちり行われたら、お客さんを入れてやることは可能だと思う」とし、「科学的な検証をしっかりした上でそのもとにどうやって開催していくか。国民みんなに理解できて初めてそれならばいいんじゃないかと思ってくださることが(有観客開催への)最低の条件」と述べた。

 森会長の女性蔑視については「女性の差別化というのは当たり前というのできているからね。それでこういう大問題が起きたわけだから、女性の差別やダイバーシティ、ジェンダーの自由化、みんなが前向きにとらえていくことが大事で、それをきちんとやっていけば、森さんの発言も日本を変えるきっかけになったと言えるんではないか」と話した。

 森会長について「とても気の毒で。あれだけラグビーW杯、今度のオリンピックでいろんな準備、ご苦労もあってここまで来て、残りわずかなところで退任されるのは本当に残念だと思うんだよね。ほとんど準備は整っていて、残りは観客動員どうするかとか、感染の防疫体制、観客をどう入れるかとか。問題として検討しなければいけない数は限られていると思うんだよね。だからその中でならなんとかやれるかなって」と話した川淵氏。

 さらに「森さんの今までやってきたすごい成果を横取りするような感じは僕としては一番いやなことなんでよね。影の人として、最後の成功に努力できればいいなと。開催できるかどうかまだわからないけど。森さんの意向を受けて、開催に全力を尽くすことができれば」とし、「僕の人生の最後の大役ということでベストを尽くしたい。選ばれれば、ね」と述べた。

 ここ数日、組織委幹部が川淵氏側と交渉。本人の承諾を受け、IOCなどにも通達済みという。

 川淵氏はJリーグ初代チェアマンとしてサッカー界の発展に尽力。日本トップリーグ連携機構の会長も務め、日本バスケットボール協会の立て直しでも実績がある。1964年の前回東京五輪にはサッカー日本代表として出場しており、今夏の東京五輪では選手村村長を務める予定だった。

 昨年11月、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長が来日した際、川淵氏は東京都中央区晴海の選手村を案内。施設を絶賛する同会長を見た川淵氏は、「バッハ会長に満足していただけたことに、村長としては大満足です」と話していた。

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2021年2月11日のニュース