自分の実力を可視化 PGAゴルフアカデミーが新プログラム導入 1~10まで10段階の進級方式

[ 2020年7月17日 05:30 ]

PGAの倉本昌弘会長
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 日本ゴルフ協会(PGA)傘下で、スクール事業を展開する一般社団法人PGAゴルフアカデミーが、画期的な新プログラムを導入した。スイミングスクールやスキースクールのようにレベルに応じた「級」を付与し、ゴルファーがスキルアップしていく過程を可視化するユニークなシステムだ。7月から本格的に運用がスタート。PGAはこのプログラムを全国のゴルフ場、練習場に広め、ゴルフ普及の起爆剤にしたい考えだ。

 PGAゴルフアカデミーが運用を始めた進級方式はゴルファーが自分の実力の“現在地”を容易に把握できて、さらに成長のロードマップを描きやすいのが特徴だ。「級」は1~10までの10段階。受講者はPGAのティーチングプロの指導を受けながら、技術と知識を習得し昇級を目指す。

 同アカデミーを設立したPGAの倉本昌弘会長は「ゴルフ界では初めてに近い進級プログラム。(受講者には)まずレッスンカルテを作ってもらい、各級それぞれの目標設定や練習の成果、評価などを書き込んでいきます。そのカルテがあることで、自分の成長度合いが可視化しやすくなります」と効果を説明する。

 「級」を分ける検定は従来型のスコアに加え、PGAが独自開発したレッスンプログラムの“傾斜地矯正法”を基にした「スロープ検定」と「アドレス検定」を活用。スコアの目安は10級で男性が120以上、女性は130以上。スロープ検定は傾斜地で正しいスイングができているかなどを見る。またアドレス検定は、基本の構えがしっかり取れているかなどを判断する。

 検定の“土台”となる傾斜地矯正法は、PGAが独自開発したレッスンメソッド。ゴルフ場によくある、爪先上がりや左足下がりなどの傾斜地でスイング練習を繰り返すことで、癖のあるスイングが自然に矯正され、フックやスライスなどの球筋が安定する画期的な指導法だ。ただ、同メソッドはPGAがティーチングプロを育成する講習教本だったため長年“門外不出”とされてきた。

 しかし昨年、PGAが新規ゴルファーの開拓とゴルフ参加率の向上を目的に、スポーツ施設などを運営する(株)東大阪スタジアム(HOS)と共同で同アカデミーを設立。その際に“奥義”の傾斜地矯正法も一般公開した。倉本会長は「PGAのティーチングプロはちゃんと勉強して、いろんな知識を持っている。その知識がどういうものか、公にすることで一般ゴルファーに“PGAのプロに教わってみたい”と思ってもらえればと考え、公開を決めました」とその意義を強調する。

 この進級プログラムは現在、兵庫・東条の森カントリークラブ、栃木・太平洋クラブ益子PGAコース、大阪・小阪ゴルフクラブ、同・南千里ゴルフスクール、京都・ゴルフスペース向島の5会場で受講できる。倉本会長は「今後はアカデミーをフランチャイズの形で全国に広げていきたいですね」と展望を語る。こうした進級制度があれば、レッスンが受けやすくなり、練習の励みにもなりそうだ。ゴルフ場で「私は9級」「自分は3級」などといった声が飛び交う日が来るのも、そう遠くないかもしれない。

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2020年7月17日のニュース