出稽古禁止で想定外の“実戦不足” 相撲勘磨く場、御嶽海「関取衆と肌が合わせられないのは不安」

[ 2020年7月17日 07:00 ]

19日初日 新様式7月場所(上)

今年3月に時津風部屋へ出稽古し、逸ノ城(右)を攻める白鵬
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 大相撲7月場所は19日、東京都墨田区の両国国技館で初日を迎える。新型コロナウイルス感染拡大の影響による会場の変更や観客数の調整、稽古方法など、いつもとは違う異例づくしの7月場所を3回連載で考察する。

 力士は本場所初日2週間前の新番付発表を機に本格的稽古に切り替える。それが、慣例だった。基礎運動で体をふくらませ、ぶつかり稽古で調整し、実戦稽古を再開して相撲勘を磨く流れがある。出稽古はしなくても一門の連合稽古で他の部屋の関取との相撲で状態を確認する力士もいるが、新型コロナの影響で場所前のルーティンは崩れてしまった。

 日本相撲協会は4月上旬、各部屋に対して接触を伴う稽古の自粛を要請した。その後、師匠の判断に委ねる方針へ変更されたが、出稽古だけは例外だった。1場所の中止を経て本場所を迎えるのは、11年技量審査場所以来。その時は出稽古は可能だった。出稽古を行わずに本場所を迎えるのは今回初めてで、横綱・白鵬は「うちの部屋は関取2人が小兵(炎鵬、石浦)、重さというのは…」と不安を漏らした。関脇・御嶽海は同部屋に幕下以下の相手しかおらず「関取衆と肌が合わせられないのは不安」と心境を吐露した。

 連日のように出稽古で腕を磨き本場所に臨む新大関・朝乃山も部屋で相撲が取れる関取は不在。それでも、「自分は大丈夫。幕下にホープ(村田)がいて、自分も負けないという気持ちになれる」と強調。精神力で“穴”を埋めている。一方、追手風部屋のように関取衆が7人もいる場合は大きな逆風ではなさそうだ。いつもとは違う調整に不安を感じる力士もいれば、カバーできる力士もいる。新型コロナが生んだ「想定外」。相撲界初の出稽古禁止は本場所のパフォーマンスに大きく影響しそうだ。

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2020年7月17日のニュース