JPC河合純一委員長が語る コロナ禍の今だからこそ光るパラ選手の強さ

[ 2020年7月17日 10:00 ]

講演会を行う河合委員長(20年3月撮影)
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 パラ選手の真価とは何か。かつてパラ水泳エースとしてパラリンピック6大会連続出場、21個のメダル獲得を果たした日本パラリンピック委員会(JPC)の河合純一委員長(45)が、緊急事態宣言解除後から約2カ月ぶりに活動再開したパラ選手たちに問いかけた。新型コロナウイルスの影響で、来夏に延期になった東京パラリンピックの代表選考日程も分からない状況が続く。先が見えない今だからこそ、河合委員長は「パラ選手たちの強さを示すチャンスだ」とエールを送った。

 失われたものを数えるな、残されたものを最大限に生かせ――。これまで脈々と受け継がれてきたパラスポーツの精神こそ、河合委員長が今だからこそ発揮できる“強さ”だという。「選手たちはこれまで障がいと向き合い、今できることは何かを考え、心をタフにして競技をしてきた経験がある」。具体的にどういうことなのか、私なりに考えてみた。

 人が障がいを持つに至る理由は、さまざまだ。先天性のものもあれば、事故や病気などによる後天性 の場合もある。パラ選手に共通することの1つとして私は「自分の未来が一度は見えなくなる時があったこと」ではないかと考えている。パラ選手の取材をする中で、先天性の障がいを持つ選手は「他の子どもと比べてどうして自分の身体はこうなのか悩んだ」と幼少期を明かした例や、事故や病気によって障がいを持った場合は「今までできたことができなくなった。何も手に付かなくて絶望した」という選手もいた。

 それでも今は自分の持てる全てをフルに活用し、技術や競技力を追求し、アスリートとして夢を語る。障がいを乗り越えた、と言葉では簡単だが、その過程には苦しみや葛藤があったはずだ。コロナ禍の今、スポーツ界問わず多くの人が将来に懸念を感じている。河合委員長は、かつて自らの行く末に不安を覚えた経験を持つパラ選手だったからこそ、混乱に揺れる世界に一石を投じる存在であることを伝えたかったのかもしれない。

 パラリンピックは1年延期になったが「魅力を伝える期間が増え、よりファンを増やすことができる」と河合委員長は前向きに捉えている。目指しているのは、パラリンピックを通じて障がいに対する固定概念を変えること。JPCでは小中高生向けに、パラリンピックを題材にした教材「I’mPOSSIBLE」を日本財団パラリンピックサポートセンター、公益財団法人ベネッセこども基金と共同開発し、全国の学校に配布。学校法人角川ドワンゴ学園N高では生徒に講演した。「障がいは、多くの人がマイナスに捉えがち。パラリンピックがその概念を越えていくために、コンテンツになる必要がある」。力強い決意を胸に、未来への思いを口にした。(記者コラム・小田切 葉月)

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