聖火式典、不完全燃焼…強風影響でドタバタ続き、わずか32分で“お開き”

[ 2020年3月21日 05:30 ]

聖火到着式に出席した(左から)森喜朗東京2020組織委員会会長、吉田沙保里さん、野村忠宏氏、サンドウィッチマンの伊達みきお、富澤たけし、石原さとみ、元パラリンピアンの田口亜希さん(撮影・吉田 剛)
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 ギリシャで採火された東京五輪の聖火が20日、特別輸送機で宮城県東松島市の航空自衛隊松島基地に到着した。1998年の長野五輪以来22年ぶり。だが、この日、東日本を襲った暴風の影響で「聖火到着式」などのイベントのあらゆる予定が変更されるドタバタの連続。出席者の相次ぐ“遅刻”、青空に描かれるはずだった5色の五輪マークも霧散。新型コロナウイルスの感染拡大で険しい道を進む東京五輪を象徴するスタートとなった。

 ため息とともに「5つの輪」が、青空に消えた。聖火到着式のクライマックスとも言える航空自衛隊アクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」による展示飛行。東松島市ではこの日暴風警報が発令され、式典時には瞬間最大13・5メートルの強風が吹き荒れた。基地の上空には5機がそれぞれ5色の煙で五輪マークを浮かべるはずだったが、強風で円も描けないまま流された。

 ただ、その直後に仕切り直して行った隊長機を先頭にし、残り5機が横一線に並んで飛行する“リーダーズベネフィット”という隊列飛行は見事に成功。空自関係者も「あれはうまくいきました」と自賛する出来栄えで、会場からは安堵(あんど)にも似た歓声が上がった。

 ギリシャから飛び立った特別輸送機「TOKYO2020号」の到着時間が、強風の影響で当初の20日午前11時から大幅に早まった。メディア関係者の受け付けも9時30分から7時30分に繰り上がった。特別機は9時36分に到着したが、搭乗メンバーは式典まで機内で約2時間も待たされることとなった。

 不測の事態はまだまだ続く。強風で東北新幹線が一時運転を見合わせ、橋本五輪相、萩生田文科相、田中復興相、大会組織委・遠藤副会長、多羅尾(たらお)東京都副知事らが“遅刻”。11時開始予定だった「聖火到着式」は20分遅れでスタートしたが、その20分後にようやく到着。このため、橋本五輪相と多羅尾副知事のあいさつも取りやめとなった。

 ただでさえ新型コロナウイルス対策で一般市民の参加を取りやめ、聖火をタラップ下で出迎えるはずだった東松島市、石巻市、女川町の子供たち200人も不参加と、大幅に規模が縮小されていた。組織委の森喜朗会長は手に持ったあいさつ文の紙を飛ばされそうになりながら「お子さまたちの気持ちを考えると、苦渋の判断でございました」と壇上であいさつ。式典はわずか32分間の不完全燃焼に終わった。「逆風」だらけの東京五輪が、まさに前途多難を予感させた。

 《聖火リレー 26日Jヴィレッジから121日間》▽東京五輪の聖火リレー 26日に福島県のサッカー施設「Jヴィレッジ」をスタートし、47都道府県を巡って7月24日の開会式で東京・国立競技場の聖火台に点火される。移動日を含めて121日。通過する市区町村は日本全体のほぼ半分の859。東日本大震災の被災地のほか、広島県の宮島など世界遺産と「復興五輪」の理念とともに地域の魅力も発信する。

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