稀勢 勝ち越し王手、9場所ぶり大関戦 3連敗中の栃ノ心破る

[ 2018年9月18日 05:30 ]

大相撲秋場所9日目   ◯稀勢の里―栃ノ心● ( 2018年9月17日    両国国技館 )

稀勢の里(右)が栃ノ心こん身の寄りを見せる(撮影・大塚 徹)
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 進退を懸ける横綱・稀勢の里が9場所ぶりの大関戦でカド番の栃ノ心を退けた。厳しい攻めで得意の左四つに持ち込み、右上手を引きつけて寄り切り。3連敗していた相手から2年2カ月ぶりの白星を挙げ、7勝2敗で勝ち越しに王手をかけた。白鵬、鶴竜の両横綱は無傷の9連勝でトップを並走。豪栄道、高安の両大関、平幕・竜電が1敗を守って勝ち越しを決めた。

 右上手を引きつけて出た稀勢の里は、栃ノ心が東の土俵下に落ちると、まわしをつかんだまま一緒に倒れ込んだ。執念を感じさせる1勝にも、淡々と勝ち名乗りを受け、平然と花道を引き揚げた。

 2敗目を喫した前日の玉鷲戦とは一転、厳しい立ち合いから流れをつかんだ。先に頭から当たり、おっつけながら左を差すと、前に出ながら右上手を取った。昨年名古屋場所では、平幕だった栃ノ心に簡単に右前まわしを許して敗れた。新大関の12年初場所以降、同じ相手に3連敗したのは、横綱・大関以外では初めてだった。嫌な相手を退け、8場所連続休場が始まった昨年夏場所以降では初の7勝目を挙げた。

 土俵下で審判を務めた貴乃花親方(元横綱)は「表情も落ち着いていて頼もしかった。緊張感を取り除いたら本来の力が発揮できる。どんどん起こしながら出ていた。あそこが実力者のゆえん」と評価した。同じく稀勢の里の取組を見ていた白鵬は「いい時の稀勢の里じゃないか。まあ執念。横綱といってもプロスポーツ。勝たないと」と大きな1勝であることを認めた。

 左大胸筋などの負傷を押して出場し、照ノ富士を本割、決定戦と連破して2度目の優勝を飾った昨年春場所千秋楽以来の大関戦勝利。それでも、勝ち数は意識していないかという問いに「そうだね」と答えたように、一日一日、力を出し切ることしか考えていない。「まあ、しっかりやるべきことを、しっかりやっていきたいと思う」。退路を断って土俵に上がっている横綱の信念は揺るがない。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海) 稀勢の里は左下手を取ったのが大きかった。右四つだけにはならないという立ち合いだった。

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