文田 日本男子34年ぶり金 日本グレコ最年少世界王者

[ 2017年8月24日 05:30 ]

レスリング世界選手権第2日 男子グレコローマンスタイル59キロ級決勝   文田健一郎2―1ミランベク・アイナグロフ ( 2017年8月23日    パリ )

レスリング世界選手権の男子グレコローマン59キロ級で初出場優勝を成し遂げ、日の丸を背負い雄たけびを上げる文田健一郎
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 男子グレコローマンスタイル59キロ級の文田健一郎(21=日体大)が日本男子34年ぶりの金メダルを獲得した。決勝でミランベク・アイナグロフ(カザフスタン)に2―1で逆転勝ちし、初出場で初優勝。フリースタイルも含め、日本男子では83年グレコ57キロ級の江藤正基以来の金メダルとなった。21歳8カ月での優勝は、五輪と世界選手権を通じて日本グレコ最年少記録。3年後の東京五輪に向け、楽しみな金メダル候補が誕生した。

 切磋琢磨(せっさたくま)してきたライバルとの約束を果たした。「太田さんとの約束は守った。責任は果たした」。初出場の大舞台で大仕事をやってのけた21歳。コーチ陣と抱き合い、日の丸を掲げて吠えた。

 「国際大会でいくつも優勝して、太田さんにも勝っている。負ける気はしなかった」。自信の源はリオ五輪銀の太田忍(23=ALSOK)の存在だった。通算成績は3勝3敗。普段の練習から全てを出し合い、代表の座も激しく争った。「12月の全日本選手権では、世界王者のおまえと戦うからな」という銀メダリストの激励を力に変えた。

 「相手の研究、防御、対策が凄い」。今大会は武器の反り投げを警戒され、胸を合わせる得意の形もほとんどつくれなかった。決勝も5月のアジア選手権決勝と同じ相手で、手の内を読まれて攻めあぐねた。それでも常に前に出て、プレッシャーをかけ続けてもぎ取った優勝だった。

 決勝前は目をつぶっても眠れず、「緊張していないと思っても心臓がバクバクだった」と独特の緊張感を味わったという。だからこそ五輪で結果を出した太田には「まだ並べていない」と冷静に立ち位置を見定めた。今大会はリオ五輪金のボレロ(キューバ)も不在。世界王者となっても慢心はない。「最終目標は五輪金メダル。今日これだけうれしいんだから、五輪で優勝できたらどれだけうれしいか」。3年後のその瞬間が、文田のこれからのモチベーションになる。

 ◆文田健一郎 梨県韮崎市出身。1メートル68。韮崎工高レスリング部顧問で、12年ロンドン五輪金の米満達弘らを育てた父・敏郎氏(56)の影響で中1から本格的に始める。得意技は組んだ相手を後方に投げる「反り投げ」。「グレコで投げる選手に」という敏郎氏の方針もあり、小さい頃からブリッジが得意だった。猫好きで趣味は猫カフェ通い。「レスリングは猫に通じるものがある。猫っぽいと言われるとうれしい」。愛称はにゃんこレスラー。好きな女性のタイプは橋本環奈。

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