米国陸上男子短距離の期待の星コールマン 驚がくのタイムとは…

[ 2017年6月13日 09:30 ]

全米大学選手権の100メートルで今季世界最速の9秒82をマークしたコールマン(右)(AP)
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 【高柳昌弥のスポーツ・イン・USA】陸上の全米大学選手権がオレゴン州ユージンでこのほど開催されたが、男子100メートルで優勝したのは、テネシー大のクリスチャン・コールマン(21=米国)だった。決勝のタイムは10秒04。向かい風2・1メートルの条件だったので記録はそれほど伸びなかった。

 しかし、その2日前の予選では今季世界最高で歴代4位に相当する9秒82をマーク。1メートル75、71キロと、日本の桐生祥秀(21=東洋大)とほぼ同じサイズだが、8月にロンドン(英国)で開催される世界選手権では、この大会を最後に引退を表明しているウサイン・ボルト(30=ジャマイカ)の前に立ちはだかる最強のライバルとして注目を集めている。

 リオデジャネイロ五輪には400メートル・リレーのメンバーとして出場。今年の全米室内選手権では60メートルと200メートルの2種目を制し、全米大学選手権では100メートル決勝の1時間後に行われた200メートル決勝も制して2冠を達成した。

 驚くべきはもっと短い距離でのタイム。とくにNFL関係者はフットボール歴がほとんどないにもかかわらずコールマンに熱視線を送っている。

 NFLではドラフト直前に新人選手を対象にした体力テスト、いわゆる「ドラフト・コンバイン」を実施。その中の種目に脚力の目安となる40ヤード走(約36メートル)があるのだが、今年のコンバインではワシントン大のワイドレシーバー、ジョン・ロス(21)が歴代最速の4秒22をマークして話題となった。クリス・ジョンソン(31=元タイタンズほか)が2008年のコンバインでマークしていたNFL記録(4秒24)を9年ぶりに更新。そしてドラフトではそのタイムがものを言って全体9番目にベンガルズに指名され、4年で1710万ドル(約18億8000万円)という契約を締結したのである。

 さてコールマンもNFL方式の計測方法(スターティング・ブロックは使わない)で40ヤード走を実施。その模様は映像に収められているが、なんと彼はロスのNFL記録より0秒10速い4秒12でクリアしてしまったのだ。陸上ではなくフットボールを選択していれば間違いなく金の卵。脚力だけがNFL選手の善しあしを決める物差しではないが、その規格外のスピードは陸上界以外でも話題となった。

 米国の男子短距離陣は若手の人材難が叫ばれて久しい。2007年の世界選手権(大阪)を制したタイソン・ゲイは34歳。2004年のアテネ五輪で金メダルを獲得したジャスティン・ガトリンはまだ現役を続けているが、すでに35歳となった。コールマンが全米選手権(6月22〜25日)で世界選手権の出場枠を確保すれば、ロンドンで“ボルトの後継者”となる可能性も大。後半の加速力で勝負するボルトとは違いコールマンは最初の10歩でケリをつけるロケット・スタートが売り物だけに、最初で最後となる両者の直接対決をぜひ見てみたいものだ。 (専門委員)

 ◆高柳 昌弥(たかやなぎ・まさや)1958年、佐賀県嬉野町生まれ。上智大卒。ゴルフ、プロ野球、五輪、NFL、NBAなどを担当。スーパーボウルや、マイケル・ジョーダン全盛時のNBAファイナルなどを取材。50歳以上のシニア・バスケの全国大会に6年連続で出場。

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